酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年12月29日(水) 『X'smap 虎とライオンと五人の男』

 クリスマス・イヴの夜、ふたりの少年がとある街にやってきた。ふたりの少年、レオと虎之助は‘ある目的’を遂行しようとしていた。大人たちをだまし、お金を巻き上げるふたりは、カレー屋で妙な二人組みと出会う。この二人・アジーとオットーが、ある屋敷に泥棒に入ろうと計画している事を知り、レオと虎之助は二人に便乗しようとするのだが・・・

 SMAPの5人が、それぞれの役柄で少年に絡んでいました。中でもアジー(木村拓哉)とオットー(香取慎吾)の泥棒兄弟は最高に良かった。息の合ったボケ(慎吾ちゃん)と突っ込み(木村君)が見ていて笑えた笑えた。あれって、慎吾ちゃんだからこそ、あの受けが出来るんだよなぁと感心することしきり。他の3人では誰にも木村君の暴走を止められないし、受けられない。そう考えるとSMAPって慎吾ちゃんが要になったのだなぁと思う。絶対に主役でいないといけない木村君より、主役にも脇役にもなれる慎吾ちゃんのが強いのではないかと。でも私は誰になんと言われようと、木村君がだぁーいすきだけどネ。



2004年12月27日(月) 『ぽきぽき』 五十嵐貴久

 ‘俺’は研修医。両親共に医者で金にも女にも不自由はない。女なんかやり捨てだ。ある夜、高級マンションに帰るとピッキングで不法侵入をされていて、部屋に入るなり気絶。不法侵入者はやり捨てた女・亜由美と亜由美の今の恋人らしき女医だった。このふたりの目的は・・・

 日本推理作家協会編『暗闇を追いかけろ』を読了。優れもののホラー&サスペンスの短編集でありました。いろんな怖さがありましたが、この五十嵐貴久さんの作品は、かなーり恐ろしいものが・・・。『リカ』に通じるものがありました。最初はエロい話だけかと思っていたら、足元を掬われます。特に殿方には縮こまる怖さと言えましょう。

 ぽきぽき、と言う音が俺の

『暗闇を追いかけろ』 2004.11.25. 日本推理協会



2004年12月26日(日) 『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

 たっくんとマユが出会う物語とたっくんがマユを捨てる物語がA面とB面という2部構成で語られる。A面では80年代の恋のヒット曲を章タイトルに、B面では反対に失恋別れのヒット曲タイトル。携帯電話のない時代の恋愛ならではのもどかしさや、青臭い時代特有の恋愛がなつかしい。いつの時代も男と女。アイテムは変わってもやってることに変わりはないってことかしら。

 これって何を仕掛けてくるのだろう?と疑う心で読んだため、からくりは見破りました。ある違和感がからくりを解いたと言えましょう。でもじゅうぶんに楽しめますv
 そして、やっぱり女の方が傷つくふりをしながら一枚も二枚も上手だよなぁと感じてしまう。傷つきながらも、したたかに。それは女の武器だっ。

 「うーん。開放感っていうのかな。」と彼女は笑顔のまま解説をはじめた。「今日一日の仕事が終ったー、っていうのと、あと今週もこれで終わりだー、っていう開放感と、あとは身体の調子が戻って、よーし、っていう感じがあって」
 「よーし、飲むぞー?」と聞くと、
 「ううん。よーし、飲んで食うぞー」と微笑んで、またグラスに口をつける。

『イニシエーション・ラブ』 2004.4.5. 乾くるみ 原書房



2004年12月25日(土) 『蛍』 麻耶雄嵩

 オカルトスポット体験サークル<アーキリーズ>のOB佐世保は、6人の音楽家が惨殺された洋館を買い取り、惨劇の復元を試みている。そこを惨劇の起こった日から四日間を<アーキリーズ>の合宿に当てると言う凝り性ぶり。そして嵐となった山荘でお約束の殺人事件が起こり、そして・・・

 評判を聞いて読んで見たいと思った今年のこのミス11位作品。オカルトと猟奇殺人が入り乱れ、きっちりトリックもあり、うまい。だけど文章の相性はよくないかも。まぁ、この方の他の作品をしっかり読んでいないので、いきなりこれだけで判断するのは間違っているかな。
 内容的には面白いし、騙されました。しかし、嵐の山荘ものってどうしても挑みたい設定なのねぇと感じ入ってしまったのことでした。

 酒でも飲まないと心がオカシクなってしまう。誰もがそう感じている。大きく切り裂かれた胸の傷を癒してくれるのはアルコールだけ。

『蛍』 2004.8.25. 麻耶雄嵩 幻冬舎



2004年12月24日(金) 映画『ロッカーズ』

 博多の街にジンと言う男がいた。好きなのは女。得意(?)は喧嘩。そして愛しているのはロックンロール! バンド仲間のモモちゃんは、女に惚れては名前を刺青にしている。ガクちゃんは合法ドラッグに溺れていつもへろへろ。美少年のコーちゃんは占いマニア、メイクをすると切れる。腐れ縁の仲間の中にタニというギタリストが参入。プロになりたいというタニの熱意に巻き込まれ、本気でロックンロールにのめりこんでいく。しかしタニは・・・

 「山笠があるけん博多ったいっ!」 博多を舞台にした俳優・陣内孝則さんの体験した青春グラフティ。これがね、非常によかと。も、博多ズキにはたまらん。
 実際に、陣内さんは博多でロッカーズとして伝説を残し、上京したそうで、ほぼ実話に近いらしい。でもアノ目立ちたがりげな陣内さんが自分よりもタニ君をメインに置いてヒジョウに良い映画となっています。若手俳優陣の豪華なこと。涎が出そうなくらい。やはりタニ君を演じた玉木宏さんが最高にカッコよか〜。たまらん〜。そして耳に残るのはライバルバンドのヴォーカルを演じた玉山鉄二さんの歌声。これは意外だったなぁ。メイクも似合ってたしv
 熱くてせつなくて、青春っていいなーって叫びたいほど良かった。も、何度でも観たいv



2004年12月23日(木) 映画『ターミナル』

 ビクター・ナボルスキーは、JFK空港に降り立ち、入国審査で引っかかってしまう。ビクターが祖国クラコウジアから旅立った後、クーデターが起こり、ビクターの帰る国がなくなってしまったのだ。融通のきかない法の落とし穴にはまってしまったビクターは改装中の67番ゲートを根城に、英語を覚え、仕事を見つけ、人と知り合い、恋をする・・・

 スピルバーグとトム・ハンクス、この映画界を背負って立つふたりが組むならば、間違いはナイ。暖かさと悲しさが同居した人生そのものを表すかのような映画でした。空港に人生があるなんて、奇想天外。そこは通過するだけの場所なのに。
 ビクターという異邦人が、扉の向こうのアメリカに行けそうで行けない場所に止まり、人と触れあう。彼にかかわる人たちは、彼を愛し、彼のおかげで幸せになる。現代のファンタジーだった。
 トム・ハンクスをはじめて知ったのは『ビッグ』だった。少年がオトナになってしまう魔法の映画。トム・ハンクスは名優だし、素晴らしい作品はいくらでもあるけれど、私にとってのマイ・トム・ナンバー1は『ビッグ』が不動かしら。

映画『ターミナル』



2004年12月21日(火) 『浦賀和宏殺人事件』 浦賀和宏

 作家・浦賀和宏は講談社から密室モノを依頼され、苦労していた。これだ!と書いたものを担当に否定され、浦賀は息抜きに・・・

 あはは。ここまで掟破りをされちゃうと笑っちゃうしかないですね。袋とじをドキドキしながら破った思いを返して、とは言いたいけれど(笑)。からくりは読めるんじゃないかなぁ。それより驚かせる記述があいかわらずてんこ盛り(苦笑)。
 浦賀和宏さんが作家としてよく訴えている気持ちが今回も浮き彫りで、ものすごく気持ちがわかる。それは浦賀さんが正しいよ。

 だけど、そういう連中の中には、図書館で借りたり、古本屋で買ったりして俺の本を読んでる読者もいる。読むだけならまだしも、それでつまんねえって批判する奴がいる。まったく冗談じゃねえぜ。こっちは商売でやってるんだから、批判するんだったらまずちゃんと本の定価の代金を払えっていう話さ。
 絶版本ならともかく、俺の本は新刊でまだまだ買えるんだから、批判するんだったら、きちんと新刊書店で買ってください。

『浦賀和宏殺人事件』 2002.5.8. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月20日(月) 映画『ブラザーフッド』

 朝鮮戦争勃発。ジンテは徴兵されてしまった弟ジンソクを連れ戻そうとし、そのまま戦争に。弟を守るため、弟を除隊させるため、ジンテは英雄になろうとするが・・・

 なんと言っていいのやら。戦争ものは本当に後味が悪くて。朝鮮戦争について詳しくは知らないのですが、同じ民族が分裂し力で抑制しようとする。ごく一部の人間の思想のために、巻き込まれてしまう一般の人たち。それだけでやりきれない。
 兄が弟を思う余りに命をかけ、英雄と言う名の悪魔に成り果てる。弟はそんな兄に反発するようになる。愛情は方向を誤るとただの暴走になってしまう。悲しすぎる。兄の狂気が心に痛かった。個人的にはこういう戦争ものは見たくない。

映画『ブラザーフッド』



2004年12月19日(日) 映画『純愛中毒』 ※感想にネタバレあります

 ホジンとテジンは仲のよい兄弟だった。両親を早くに亡くし、兄のホジンはテジンの親代わりでもあった。オクテの兄ホジンが美しいウスンと結婚し、3人は一緒に暮らす。
 兄の心配を受け流し、カーレーサーの道を選んだテジン。あるレースの日、テジンはレース場でホジンはレースを見るために急ぐ道中で同時刻に事故に遭遇。ふたりとも昏睡状態になってしまう。
 一年後、奇跡的に回復したテジンは家に帰る。そして兄嫁ウスンに向って自分はホジンだと主張し始める。あまりも愛する夫ホジンに似た行動をするテジンにウスンの心は乱れ始め、そして・・・

 韓国ブームにどっぷりな職場の先輩から「これはあなたにピッタリ」と2本の映画をレンタルされました。そのうちの1本がこの『純愛中毒』でした。ゆったりと流れる物語の展開をもどかしく感じつつ、ラストに一気に明かされる謎のあたりは結構気に入ってしまった。テジンに思いを寄せていた女友だちから「狂った愛」と指摘される兄嫁へのテジンの思いは、兄より先に好きになっていようがなんだろうが変質的としか言いようがなく(苦笑)。でも、ただのストーカー映画の作りにならなかったあたりが‘純愛’ゆえなんだろうなぁ。要するに狂った義弟の愛を兄嫁が受け入れるかどうかがポイントなのですが、それは映画をどーぞv
 私はテジンを愛した女友だち役の報われない思いが胸にぐぐっときて、「アンタを忘れたい」と言う言葉にそっと涙・・・



2004年12月18日(土) 『透明人間』 浦賀和宏

 飯田鉄雄が、新しく出来た彼女を安藤直樹に紹介。彼女=小田理美は天涯孤独な女の子だった。理美の父の残した研究をめぐって、飯田と理美は地下室に閉じ込められてしまう。そして発生する連続殺人事件・・・?

 お調子ものを気取っている飯田鉄雄くんの新しい彼女は哀しい過去に囚われた自殺未遂を繰り返していた。安藤直樹モノと思い込んで読んでいたので、理美ちゃんのうじぐじした独白には気が滅入ってしまいました。安藤直樹モノではじめて放り出しそうになった。この物語が安藤直樹の物語に今後どうかかわってくるやら想像もつかないけれどメモだけはしっかり残しました。
 前回の安藤君の行動が異様過ぎただけに閑話休題だったのかしら。閑話休題にしてもかなり人は死にますが(苦笑)。シリーズモノは外せないとこがあるから厳しいわー。

 生きていればきっと、新しい人達と出会う。
 未来が、どうなるのかはわからない。
 これから誰と出会うのかも。

『透明人間』 2003.10.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



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