酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEX|past|will
| 2005年02月01日(火) |
『不思議な少年� 戞〇害赦柁� |
「万作と猶治郎」 木武万作(きぶばんさく)は、両親と弟・猶治郎と東京から父の実家へ疎開していた。ふと気づくと弟の姿が金髪の美しい少年と入れ替わっていた。しかし両親には前の猶治郎に見えるらしい。おののく万作がたどり着いたのは、鬼舞(きぶ)家という豪農だったのだが・・・
「エミリーとシャーロット」 エミリーとシャーロットは孤児。美しいエミリーは自分を貴族の末裔と信じ込んでいる。春風の中でふたりは美しい少年と出会い、シャーロットは賭けをすることになり・・・
「狐目の寅吉」 昔、昔、水害に見舞われた地で人身御供として埋められた美しい少年がいた。その少年を模した菩薩像を奪い胸におさめ、寅吉は生きるため人を殺し物を盗む。その菩薩像に似た少年が地上に降りてきて、寅吉に出会う・・・
うーん、すっごく不思議な物語だった。時空を越える美しい金髪の少年(不思議な少年?)が、さまざまな時代のさまざまな場所に現れて、人間界に茶々を入れてる感じ。その少年が「人間て不思議だ」と言うほど、人間は複雑怪奇に違いなく・・・。とても面白いのだけど、読んだ後、妙に考え込んでしまいました。 個人的には「エミリーとシャーロット」が一番好き。女の子同士の複雑な胸のうちがよーくわかるから。この物語を読む限り、美しい少年はいたずら天使と言う感じなのだけど。
『不思議な少年� 戞�2001.10.23. 山下和美 講談社KCモーニング
| 2005年01月31日(月) |
『家守綺譚』 梨木香歩 |
売れもしない文章を書いている<私>は、学生時代に亡くなった親友・高堂の家を守することになる。この家守をしていると高堂がひょいっと帰ってきた。無論、もうこの世の住人ではないらしい。そして四季折々と不思議な心温まる自然との交流を楽しんで慈しんで生きている・・・
梨木香歩さんの描く生活って、どうしてこんなに憧憬を呼び覚ますのだろう。静かに心優しく生きる毎日。憧れ以外のなにものでもない。そこに現れる不思議なモノたちも会ってみたいわー。何より亡くなった人がひょこっと帰ってくれるなんて羨ましいことこの上なし。 自然や生活を愛する人に超オススメであります。
人間死んだからとて修行したからとてそうおいそれと性根が変わるものではない。そう思うと安心するようながっかりするような変な心もちである。
『家守綺譚』 2004.1.30. 梨木香歩 新潮社
| 2005年01月30日(日) |
『バッテリー�此戞,△気里△弔海気鵐汽ぅ鷁� |
孤高の天才ピッチャー原田巧。クールでストイックな巧が、仲間や先輩達と関わり、すこしだけ変化を見せる。そして宿命のライバル・門脇秀吾に投げる日がやってくる・・・
この『バッテリー』という物語は児童文学の枠を軽く飛び越え、おとなたちも巻き込んでしまいました。魅力は巧を含め登場する少年達のそれぞれのキャラクターが素晴らしかったことに尽きると思います。野球に興味のない人にでも十分に楽しめる素敵な物語です。 さて、本日、岡山丸善さんでのあさのあつこさんのサイン会へ行って参りました! 小さな子供達から、中・高校生、おかぁさん族、そして私のような大人な(?)ファンで溢れ返っていました。子供達のキャワキャワ言う様が微笑ましかったです。大好きな作品の作家さんとお目にかかれるって最高ですよねv プレゼントをお渡しするとき、ふらりと消えた愛猫ミゾちゃんの話をお聞きしました。ミゾちゃん、おかぁさん(あさのあつこさん)は涙ぐまれていましたよ。早く帰っておいで。人柄の滲み出た優しい素敵な女性で本当にお目にかかれて幸せでありました。
ああこの言い方はおかしいな。とっさに感じ少しあわてる。心の内にあることを他人に伝えることの、この困難さ。むずかしい。言葉は口にしただけで、容易に変質して、想いをそのままに伝えてくれない。
『バッテリー�此戞�2005.1.15. あさのあつこ 教育画劇
| 2005年01月29日(土) |
『うたう警官』 佐々木譲 |
札幌市内のアパートで美貌で有名な女性警官の他殺死体が発見された。容疑者で浮かんだ津久井巡査部長は、ある警察内部事情を<うたう=密告・証言する>ことになっていた。上からの指示は津久井の射殺? 津久井の無実を信じた佐伯は、仲間を集め、独自で捜査するのだが・・・
警察という機構は外部からでは計り知れない世界だと思います。警察関係者が警察に不利な証言をする=うたう。それってかなりの覚悟と信念があってのことでないと出来ないこと。腐っていない佐伯たちの奮闘とたどり着いた真実にちょっと驚かされました。まるで映像を観ているような展開でなかなかに楽しめました。
『うたう警官』 2004.12.18. 佐々木譲 角川春樹事務所
| 2005年01月28日(金) |
『ボーナス・トラック』 越谷オサム |
草野は、名前を聞けば誰でもわかる業界大手のハンバーガーチェーン企業に就職。忙しい土曜日には十二時間を軽く越えて働く日々。ある雨の夜、帰宅中にひき逃げに遭遇。倒れている男を必死に助けようとするが、彼は死亡。しかし、その彼の魂は成仏していなかった・・・!?
これは第16回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品です。不思議なもので私は大賞より優秀賞の方がいつも相性がいいみたいv この物語は人のいい男と人のいい幽霊の心優しき交流の物語。こんな心温まる展開があるんだなー。素敵でした、ものすごく。 登場人物が“いい人”が多くて、また読む人によっては綺麗事すぎるとか言われてしまうのかもしれません。そういう感想を目にすると心が痛いわ・・・。私にとっては心がぽかぽか温かくハッピーな気分にさせていただける優れもんなんだけど。
まあたしかに、人を見かけだけで判断したり、優劣をつけたりすることは正しい行いではない。
『ボーナス・トラック』 2004.12.20. 越谷オサム 新潮社
| 2005年01月27日(木) |
『すべての美人は名探偵である』 鯨統一郎 |
“世界史”という独自の分野を立ち上げた美貌の歴史学者・早乙女静香。テレビ番組『歴史は囁く』の生本番中に同じくゲスト出演中の阿南教授の言葉に怒り、「てめえ、ぶっ殺す!」と言い放ち、近親処分を喰らってしまう(大笑)。しかしコッソリ出かけた沖縄で、その阿南教授の死体を発見してしまい、容疑者となってしまう・・・
傍若無人な美女・早乙女静香。肩書きは「“美人”」と言い放つ、本物の美女。そして性格に難あり。彼女の行くところどころで騒動と殺人事件が発生する! 歴史的解釈の面白さというのは、着眼点が全てなのでしょうね。鯨さんの場合、あまりにも笑いが強いので解釈は流しがちですが、こういう見方があるのか〜と感心します。考えてみれば、ずいずいずっころばし♪って妙な歌ですよねぇ。
「君の肩書きは?」 早乙女静香が振り向いた。 「“美人”よ」
『すべての美人は名探偵である』 2004.12.20. 鯨統一郎 光文社
| 2005年01月26日(水) |
『M8(エムエイト)』 高嶋哲夫 |
瀬戸口誠治、28歳、東都大学理学部地球物理学教室ポストドクター。彼は1995年の神戸の震災の被災者だった。今は地震研究に没頭し、あの悲劇を二度と起こしたくないと思っている。そして彼がはじき出した数値は、東京に直下型地震が起こると言うものだった・・・
キツイ物語だと緊張感を持って読みました。自分にとって読書とは娯楽であるべき、そういう信念があります。しかしながら、こと地震や戦争については考える事が必要が切実にあることに気づいています。だから決して楽しい物語ではないけれど、心をガードしながら、読み進めました。 近い将来、地震が起こる可能性がある。そのことは心しておかないと。あらためて避難グッズを再点検、再準備しようと思っています。起こらないにこしたことはないけれど・・・。
「すぎたことより、今後のことを考えましょう。政府としては復興に全力を尽くし、リーダーシップを取り戻す。とりあえず震災救援特別措置法でも作って、被災者救済を第一に考えなければならないでしょう。阪神淡路大震災が参考になると思います」
『M8(エムエイト)』 2004.8.30. 高嶋哲夫 集英社
| 2005年01月25日(火) |
『無法地帯 幻の?を捜せ!』 大倉嵩裕 |
ヤクザの大場久太郎、探偵の宇田川一、コレクター仲間にあくどさで名を馳せる多々見正一。一筋縄ではいかない3人がオタクの名にかけて(笑)、幻のプラモデル『ザリガニラー』の争奪戦を繰り広げるのだが・・・。
やーん、聞きしに勝る面白さ〜。パチパチパチv あまりにも可笑しくてガハハと声を出して笑えてしまうほど。なにかを所有したい、コレクター魂ってのは大なり小なり人間の持つ本能なのかもしれませんね。いい年をした大人が食玩や昔の怪獣プラモデルに目の色を変える。ある意味ロマンなのかもしれないなぁ。お馬鹿な話だけでなく、根底に流れる物語の方向性が最後に「おおう」と唸らせます。オススメv
「判らねえ。俺も含めて、オタクってのは、基本的に身勝手な生き物だ。悪魔とまで言われるコレクターが、何の見返りもなく情報を教えるとは思えないな」
『無法地帯 幻の?を捜せ!』 2003.12.5. 大倉嵩裕 双葉社
| 2005年01月24日(月) |
『ゆらゆら橋から』 池永陽 |
飛騨の山あいに住む小学校五年生の健司は、今にも落ちそうな<ゆらゆら橋>で東京から来る先生を待っていた。真っ赤な彼岸花を手に現れた由美子先生。彼女が健司の淡い初恋の人となり・・・
昭和のはじめを舞台に五年生の健司が飛騨の山あいで真剣な恋をし、東京へ出て行き、また様々な恋をする。まっすぐで融通のきかない不器用な健司の一生の恋の物語。
池永陽さんは、私が読んだ限りでは男性の熱く揺れる心より、情念の女性を描いた方が心に迫ってくる感じがします。この健司の恋の物語は・・・不器用すぎて素敵と言えば素敵だけど・・・うーん、どうかしら。
「思い出ってね、人の自由を奪ってしまうの。悪い思い出はもちろん、たとえいい思い出でも手枷足枷になって身動きが取れなくなっちゃう。嫌になるほどやっかいなものよ」
『ゆらゆら橋より』 2004.12.20. 池永陽 集英社
| 2005年01月23日(日) |
『いとしのヒナゴン』 重松清 |
その昔、比奈町に<ヒナゴン>という謎の生命体が目撃されて大騒ぎになった。悪たれ代表イナゴのイッちゃんは子分(カツ・ナバスケ)を引き連れて探索に出かけ大騒動を巻き起こす。 そして30年後、そのヤンチャなイッちゃんは比奈町のヤクザな町長さんとなり、類人猿課を無理矢理役場に設置(笑)。そこへ東京からコピーライターになることを挫折しかけたノブが戻り、イッちゃんに巻き込まれ、ヒナゴン探しをすることに・・・
切っても切っても金太郎飴な重松清。郷土・岡山の誇りをそんなふうに捉えていた(いや好きは好き、大好きなのよ)私が驚きました! 今までの重松節とはちょっと違う・・・。これがまた微妙な違和感(主人公の設定・視点かな)で良いのです! 中国地方の田舎町では、合併問題は深刻と聞きます。そのことと昔、広島で目撃されたと言うヒバゴンを持って来て、町を考えるあたり、重松清はあなどれないです。しかも、これって映画化だそうで驚きが更に倍! 私のイメージではイッちゃんは西田敏行なんだけど年齢が少し上なのか、ギャラが高すぎたのか(苦笑)。この映画は公開されたら観たいと思います。 この本を読んでどうぞアナタのふるさとを思ってください。都会生まれの方でしたら、こんなふるさとが自分にあったらと想像していただきたい。涙あり、笑いあり、覚悟あり。素晴らしい人情の物語です。超オススメv
甘いかな。ワガママかな。やっぱり身のほど知らずの無謀な夢、なのかな。自分でもそれはわかっていて、家族にもめちゃくちゃ文句言われちゃうだろうなと覚悟していて、でも、もう一度だけ、性根を据えてやってみたかった。そうしないと、夢をきちんとあきらめることすら、できない。
『いとしのヒナゴン』 2004.10.30. 重松清 文藝春秋
|