酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年04月09日(土) 『スカイハイ』 高橋ツトム 小川智子

「ヒトソダテ」
 交通事故死してイズコのいる怨みの門へやってきた滝川夫妻。ふたりは奇跡的に助かった息子が気に係り、息子の周囲を漂うのだが二人が見た息子の本当の姿とは・・・

「骨」
 海底で発見された人骨。死後59年を経てイズコのいる怨みの門へ辿り着く尾崎。戦争に巻き込まれ、命を落とした男が見た現代ニッポン。尾崎がくだす決断は・・・

 釈由美子さんのコスプレも麗しい「スカイハイ」は気になるドラマでした。怨みの門でイズコに出遭った人間には3つの選択肢がある。
 一、死を受け入れて天国へ行き再生の準備をする。
 二、死を受け入れず霊となって現世を永遠に彷徨い続ける。
 三、現世の人間を一人、呪い殺す。ただし…
 決断を下した人間にイズコはその方向を指差して言う。
 「お行きなさい」
 「お生きなさい」
 「お逝きなさい」と・・・
 シンプルな設定ゆえの残酷さが面白いのですよね。小説は、「ヒトソダテ」の方が無茶苦茶こわかったです。個人的にはそちらの方が好みでした。

『スカイハイ』 2004.1.30. 高橋ツトム 小川智子 集英社



2005年04月08日(金) 『担任』 新津きよみ

 直子は臨時採用で小学校の教師となる。そのクラスの「担任」が産休に入ったため。そのクラスでは1年前からひとりの少女が行方不明になっていた。娘の生存を信じ、学校に顔を出す少女の母。そして空席のはずの少女の席に彼女の姿が見え始め・・・?

 新津きよみさんはうまいですねー。ありきたりのホラーではない展開にうなりました。ホラーよりホラーな現代社会。心の闇はいつだって人間が自分で生み出しているのかもしれませんね・・・。

『担任』 2004.1.10. 新津きよみ 角川ホラー文庫



2005年04月07日(木) 『オールド・ボーイ』 大石圭

 オ・デスは27歳のとき、愛娘ヨニの4歳の誕生日プレゼントを購入し、帰ろうとしたところ拉致され監禁されてしまう。その日から15年間、窓一つない狭い部屋に閉じ込められ、与えられるものはテレビと餃子定食だけ。オ・デスは執念で狂うことよりモンスターになることを選び取る。ある日突然解放されたオ・デスが行きつく真実とはいったい・・・

 面白かったです。映画を観そびれてしまったのですが、これは観ておくべきだった。残念。囚われた者と監禁した者。ふたりの因縁は意外なことでした。ただオ・デスが嵌った罠はわかりましたけど・・・。映画で観ると壮絶だったろうなぁ。15年間監禁されて狂わずにいられるかどうか想像すると気がおかしくなりそう。

 時間というのは・・・・・・残酷なものだ。

『オールド・ボーイ』 2004.9.25. 大石圭 角川ホラー文庫



2005年04月06日(水) 『野ばら』 林真理子

 名門女子校で出会った千花と萌。美貌を武器に宝塚に進んだ千花とフリーライターとして頑張る萌。若く美しいふたりはどこへ行っても注目され、ちやほやされもてはやされる。いつも主人公、ずっと幸せなまま生きていけると信じ込んでいたふたりだったが、千花は若手歌舞伎役者に振り回され、萌は父親ほどの年齢の男との不倫に苦しむ・・・

 歌舞伎界や宝塚という特殊な世界の裏側を林真理子さんならではの残酷な視線であでやかにいやらしく浮き彫りにさせています。華やかに見える世界の裏側の醜さや残酷さが興味深かったです。役者さんにモデルがいるのでは?とアレコレ想像しながら読めて下世話に面白かったです。
 若くても美しくても、この世の春は永遠に続く事はありません。花の命は短くて・・・と言うことですね。傲慢にならず、地に足をつけて生きていきましょうv(いや、私はもはや既に若い娘ではないのだけれど。アハハ)

「モエちゃんだけじゃなくって、今の若い女の子っていうのは、男のことを知らないくせに見くびっている。男の心が、女の自分の相似系だと思っているんだからおかしいわね」 

『野ばら』 2004.3.15. 林真理子 文藝春秋



2005年04月05日(火) 『タイムスリップ釈迦如来』 鯨統一郎

 はっちゃけた女子高生・麓麗(ふもとうらら)が今度は古代インドへタイムスリップ。女系家族に育ったためおねぇ言葉を話す仏陀と知り合い、世界征服、違う、世界宗教確立を目指すのだが・・・

 ひゃははははは。出た、出た、鯨さんならではのオバカっぷり! 今だからの旬なネタ満載で大笑い。たまにはこういう笑える物語で心を癒すもいいものですねぇ。個人的には明治維新が今ひとつだっただけに、モリリンについでシーちゃんが最高でとっても嬉しいv

 第一(ナンバーワン)にならななくてもいい
 もともと特別な唯我独尊(オンリーワン)

『タイムスリップ釈迦如来』 2005.3.5. 鯨統一郎 講談社ノベルス



2005年04月04日(月) 『十四番目の月』 海月ルイ

 桑島樹奈は買物中に2歳の娘・美有を誘拐される。振り回された挙句、身代金を奪われた。現場となったシャングリアホテルでピアノ演奏をしていた奈津子は、事情徴収をされ事件と関わりを持つことになってしまう。犯人の狙いはいったい・・・

 京都を舞台にしたミステリー。登場する女性達がとても魅力的でした。ただ犯人についてはすぐに見切れました。動機も女性達を見つめていると、おぼろげなものは見えてくる気がします。フィクションとしてのラストはとても爽快でした。

「悪意がないというのは、自覚がないということよ。自覚がない人は、反省も後悔もせえへん。反省も後悔もせえへん人は、何度でも同じことを繰り返さはる」

『十四番目の月』 2005.3.10. 海月ルイ 文藝春秋 



2005年04月03日(日) 『黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人』 森功

 福岡県久留米市で看護婦たちによる保険金連続殺人事件が発生し、世の中をあっと言わせたことがありました。その事件を追ったルポを読みました。主犯の吉田純子は自分を仲間(僕?)に「吉田さま」と呼ばせ、身の回りの事をさせていた。その中のひとりにはレズビアンの相手をさせ、性欲の捌け口にまでしていたと言う。吉田純子の虚言に振り回され、信じてしまう女たち。哀れすぎる・・・
 たぶんこのルポを読んだ人ならば、すぐにオウム真理教の麻原を思い出すのではないかしら。それくらい破天荒な作り話で人を煙に巻くのでビックリでした。彼女に巻き込まれたとされる3人の女たちは、どうしてあんな胡散臭い話を信じてしまったのかなぁ。吉田純子は死刑求刑されました。まぁ、当然でしょうね・・・。
 



2005年04月02日(土) 『そのときは彼によろしく』 市川拓司

 智史は、アクアショップ『トラッシュ』を経営。そこへ美しい女性がアルバイトの募集に応募してきた。・・・ぼくは彼女を知っている、ぼくの中のデジャブ。智史を切っ掛けとして周りの人間が化学反応を起こしていき、そして智史は・・・

 いやー、やられましたな。市川拓司さんのタイトル落ちには参ってしまう。ここにこうくるのかーって涙がはらはらはら。登場する人物がユニークで優しくて不思議なファンタジィだと感じました。中でも智史の父親と母親は最高でした。つくづくこういう人たちに育てられたら、間違いなく素敵な人間の出来上がり。ただの恋愛モノでなく、人情モノでない。あなどれない展開を今回も読ませていただきましたv これの映像かも観たい気がします〜。

「ぼくは忘れない。それが残されたぼくらにできる唯一のことだから」

『そのときは彼によろしく』 2004.11.1. 市川拓司 小学館



2005年04月01日(金) 『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク�后戞\佚聴疥�

 池袋のトラブル・シューターまことが関わる4つの事件。凄腕スカウトマン、一発屋の往年の大スター、ビューティフルなチャイニーズ、親に自殺された三人の若者達・・・ついつい深く関わってしまう、お人よしのまこっちゃん。

 うーんと、石田衣良らしい切り口で現代の4つの問題を解決(と言っていいのかどうか疑問だけど)していく。池袋のキングや頭角を表し出世したサルたちの助けを借りながら。
 この物語は、テレビドラマの配役のインパクトがとても強くて読んでいると、まこっちゃんは長瀬くんだし、キングは窪塚くん、サルは妻夫木くん、まこと母は森下愛子が浮かんでしまいます(苦笑)。あれってクドカンさんらしさてんこ盛りだったからなぁ。物語とドラマが響きあってる感じがします。
 まことはモノ書きをしながら、事件解決していくのですが、昔のような荒々しさや若々しさは流石になくなってしまいました。物語の中で成長していっているのね。寂しいけれど。
 4つの物語の中ではまことが孤軍奮闘する「反自殺クラブ」が心にズキズキ痛かった。筋と流れは読めてしまったことが残念。もうひとひねり欲しかった!

 どれほどスタイルを変えても、知性とその体系は隠せない。

『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク�后戞�2005.3.10. 石田衣良 文藝春秋



2005年03月31日(木) 『骨肉』 明野照葉

 稲本家三姉妹、真子・聖美・美善はそう仲もよくない。母を亡くし、男やもめの父から招集がかかった。嫁いで専業主婦になっている真子、独立して仕事を生きがいにしている聖美、父のもとで気楽にOLしている美善。そんな三人に父は「新しい妹」を紹介した。いまどきのギャルの阿子は、いきなり結託した三姉妹の追い出し攻撃を浴びるのだが・・・

 明野照葉さんがこういう路線をポンって差し出されるとは意外な気がしましたが、読んでいるうちに明野さんらしいなぁとトッテモ面白かったです。タイトルの『骨肉』は骨肉の争いから来ているのだと思います。仲の悪い三姉妹が財産の分け前が減ってしまう事に目の色を変えて、まだ子供の阿子に徹底的に立ち向かう。読んでいて滑稽で、ある意味ホラーで人間って怖いなぁって感じます。ぞぞぞぞぞ。表紙のイラストの目と開きのイラスト目が内容をうまーくあらわしていることにも感心しました。

 しかし、自らの死を前にしてみれば、それらすべてが意味を失っていく。あの世には、何も持っていけませんから。

『骨肉』 2005.3.25. 明野照葉 中央公論社



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