酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2005年09月27日(火) |
『無明の闇 鬼籍通覧』 椹野道流 |
大阪府高槻市O医科大学法医学室にミチルの法則がというものがある。今回は「同じ種類の解剖は続く」という法則が当たってしまい、赤ん坊の解剖が続いてしまう。そしていつもはクールで優しいミチルの様子がおかしいことに崇は気づき、自分の国家試験合格発表結果は友達に知らせてもらうように頼み、解剖に戻る。ミチルの様子がおかしい原因は、ミチルが子どもの頃に発生したひき逃げ事故にあったのだが・・・
伊月崇の姉さん格のミチルさんの様子がおかしい。その原因となる過去の事件が今回恐ろしいことと共に解明されます。こういう人間の闇と恐怖との絡め方が本当に絶妙だなぁと思います。これってシリーズで映像化の話がないのかしら。ミチルさんや崇やダイスキな都筑教授を映像で見てみたいなぁ(願望)v キャラクターがいいから、素敵だと思うのだけど。 人間は誰しも心に闇を抱えていると思うのです。その内なる闇を育てないように心を正して生きなきゃなぁなーんて思いました。このシリーズは本当にどれもスキなのですケレドモ、これが一番スキかもしれない。今のところ。
「うん。たとえば、僕がここで君に、小さな嘘をつくとするやん。そんなんで、法は僕を罰されへんやろ? せやけど、もしその嘘で君を傷つけたら、そのことで僕はきっと密かに苦しむことになるやろうな。そういうのも確かな罰やと、僕は思うねん。・・・・・そういう良心の裁き、っちゅうんは、どんな奴にでもあるん違うかな」
『無明の闇 鬼籍通覧』 2000.3.5. 椹野道流 講談社ノベルス
| 2005年09月26日(月) |
『暁天の星 鬼籍通覧』 椹野道流 |
大阪府高槻市にあるO医科大学の法医学室は、都筑教授、助手・伏野ミチル、技師長・清田、技術員・森陽一郎、秘書・住岡峯子という少数精鋭スタッフ。そこに大学院生として伊月崇が入ってきた。崇は、遺体解剖の場で刑事となった幼馴染・筧兼継と偶然に再会。彼らは続けて共通点のある遺体を解剖することになり、彼女達の接点を辿るうちに昔に起こった悲惨な事件が全貌をあらわし・・・
鬼籍通覧シリーズを知り合いから教えてもらい、ハジメテこの『暁天の星』を読んだ時にゾゾゾと鳥肌が立ったことを覚えています。もともとミステリーを読む、とかジャンル分けして読むタイプではないのですが、こういう“落とし”をされるとは全く予想出来なかったですね。ゾクゾクさせる展開と見事な恐怖落ちにはノックアウトされました。本当にいろんな意味でこの物語は怖かった・・・。でも、内容の落ちて行く場所の怖さと反対に登場人物たちがほんわか温かくて、うまいなぁと思うのであります。温かい中に落とされる一点の墨汁の染みのような怖さ、これって難しいことですもん。新刊を待ち望む大好きなシリーズのひとつなのでありますv ちなみに都筑教授が大好き(ポ)w
「解剖すれば何でもわかる、そう思うことこそ傲慢と違うかな。人間いうんは、そんな簡単なもんやろか? 解剖しても、心はどこにあるかなんてわからへんやんか」
『暁天の星 鬼籍通覧』 1999.6.5. 椹野道流 講談社ノベルス
売り言葉に買い言葉で消防士になった雄大。消防士はお金を稼ぐ仕事と割り切りつつ、実は熱血でさまざまなことに首をつっこむ。不審な老人世帯連続火災の真相に雄大が辿り着くのだが・・・
雄大くんは恵まれた青年で、だからこそ彼の表面はクールなところに反感を持つ人が登場します。あぁ、なるほどねぇ、と思いました。雄大にしてみれば、望むと望まざるに関わらず、生まれつき手にしていた資質。それを妬まれたってねぇ。でも望んでも手に入らなかった者にしてみれば嫉妬の対象となりうるんだ。生きてくって大変だー。 老人達の相次ぐ失火による火災の真相は、なんとも心にイタイものでありました。自分の生を生きるということを考えさせられました。ものすごく。雄大くんは死にたきゃ死ね(関係各位の承諾を得られれば)と言う言葉には納得できないケレドモ。言いたいことも言っていることもわかるけど・・・そういうふうに自殺について書いて欲しくはなかったの。なんだかね、哀しすぎて。
想像力がないってホント、困る。
『埋み火』 2005.8.20. 日明恩 講談社
| 2005年09月23日(金) |
漫画『隣人13号』 井上三太 ※思いっきりネタバレあります! |
裁くは天にあらず、 罰するは我なり! 他人(ひと)は何もやってくれない、 だったらオレが殺(や)って復讐(や)る! 漫画の3巻の背表紙に↑この言葉載っています。要するに子どもの頃にいじめられた村崎十三という青年が、いじめっこだった赤井トールに復讐をすると言う物語。十三は、いたっておとなしく温厚な好青年なのに、赤井トールたちにいじめられた怨みや怒りから13号という別人格が生まれ、13号が暴走をしていき、十三は13号に振り回されてしまう。自分から生まれた感情の化け物が暴走し、自分の一部を制御できず、乗っ取られてしまう。うーん、漫画でもう少し十三と13号の心情を描いて欲しいと言うのが無理なのかしら。 これは映画化された『隣人13号』で狂気の13号を中村獅童さんが演じられ、それを観たかった!という思いが、漫画に走らせました。漫画のラストをどう判断すればいいのか?と言う疑問と共にアチコチ彷徨ってみましたが、漫画も映画も賛否両論で、ラストもずいぶん違うらしいですねぇ。なんとか映画を観なければ。 こういう復讐もののバイオレンスを面白いと言ってしまうには語弊があると言うか、問題なのだろうなと思います。ただ、いじめられた側の怨みツラミが増大し、復讐するは我にあり、と言う展開はわからないではないです。子どもの頃のいじめっ子だった赤井が、十三が子どもの頃にいじめていた男で、それが自分への復讐原因だと知った時に「何年前の話だよ 一体・・・・・・」とゾォ〜っとする場面があります。問題はコレなんですよね。この想像力のなさ。この赤井トールはやりたい放題でやってきて今は幸せな家庭を築き、家族をオレが守る!とか言ってるケレドモ、自分がガキ(失礼)だった頃には、いじめられる側のことを想像も出来ない馬鹿だった。まぁ、漫画のラストでは十三に詫びて、妙なエンディングを迎える訳ですが。 なんだかなぁ。いじめられる方も悪いナンテこともよく聞きます。それってどうなんでしょう。弱いものや憎い(もしくは羨ましい)ものを虐げるって人間の本能に組み込まれている気がして。みなさん御一緒に仲良く楽しくやりましょう、なんてことが絶対的に不可能であることだけは生きてきた年月でわかってしまった。だから私は弱きものに強くなれと言いたいです。強靭になり、いじめに屈するな、と。身と心を守れるだけのものを身につけなさい。法律や常識から逸脱しない範囲で己の身は己で守らなければ。誰も守ってくれやしないから。 復讐を認めることはしないケレドモ、復讐したいほどの怒りや怨みが存在する事は痛いほどによくワカルから。 ・・・なに書いてるのかよくわからなくなってきた。 とにかくすごい漫画だった。オススメはしない。
『隣人13号』� 銑� 井上三太 幻冬舎コミックス
| 2005年09月22日(木) |
『女王様と私』 歌野晶午 |
僕・真藤数馬は親に寄生しているオタクなロリ男。ロリロリフィギュアの絵夢は僕の愛しい妹。これからブレイクする極秘スポット日暮里で絵夢とデート中に《女王様》に捕獲される。僕の性格(性癖)を見抜き、奴隷のように扱う《女王様》は12歳のかわいい女の子だった・・・
いやぁ〜、驚きましたv 歌野晶午さんに入れ込んでない程度のファンでヨカッタ。だからこそ驚きつつもトッテモ楽しめました。これっていろんな意味で問題作でしょうし、賛否両論の嵐でしょうねぇ。しかたない、この物語では。 数馬の年齢が明らかにされた時が一番驚きましたネ。あとは真ん中あたりから仕掛けの持っていき方に想像がつきました。それでもここまでひっくり返されるとは思ってなかった。だからやっぱりやられちゃったし、面白かったなと思います。 ただイマドキの小学六年生の女の子達の実態が本当にこういう子たちが存在するならば・・・怖すぎる。「女王の教室」で真矢に鍛え直してもらうべきです(笑)v 女の子の早熟さってホント危険だよなぁ。
『女王様と私』 2005.8.31. 歌野晶午 角川書店
| 2005年09月21日(水) |
『NO.6 #4』 あさのあつこ |
紫苑は、幼馴染の沙布が捕らえられたNO.6内の矯正施設へ救出に行くべく画策。ネズミとイヌカシと力河の助けを借り、お忍びでNO.6から西ブロックへ抜け出てくる高官・富良を罠に嵌め、情報を得ようとする。拷問で口を割らせようとするネズミに対し、紫苑は優しさで富良から貴重な情報を得る。イヌカシはその流れを見てまるで「北風と太陽」だと揶揄する。紫苑が太陽であることを確信犯的に利用した北風のネズミは、NO.6で育った超エリートで天然の紫苑のことななら、なんでも知り抜いた気でいたのだが、紫苑の中に潜む何か異質なものに気づき・・・
や〜、やっと出ました。今年の頭に#1〜#3まで一気読みをして、#4の出る日の長かったこと。待ちくたびれちゃった。待ちくたびれちゃったけど、また展開がえらいゆるい(大笑)! ゆるゆると新刊を待ち、妄想たくましく楽しむほかないようでありまする。 しかし、これって児童書の部類に入るのですよね? ・・・いいのかなぁ。舞台が近未来サスペンスでハラハラどきどきものだから、なんとなく読み流す事も出来そうだけど・・・でも紫苑ってば思いっきり告白してますもん。まるっきりボブ(ボーイズラブ)じゃーん。まぁ、読み手としてはますます妄想を逞しくできて楽しいですけど。うふふ。 何という直截な、あからさまな、愚かな告白であることか。己の愚かさを、女々しさを、脆弱さを、さらけ出してしまう過ちを紫苑は、今、犯しているのだ。しかし、ネズミはそれを嘲笑うことも軽蔑することもできなかった。まっすぐさに心を打たれたからではない。告白の甘さに心を動かされたからでもない。 こいつは・・・・・・いったい・・・・・・誰だ?
『NO.6 #4』 2005.8.22. あさのあつこ 講談社
| 2005年09月20日(火) |
『おまけのこ』 畠中恵 |
廻船問屋長崎屋の若だんなは今日も元気に病人生活(笑)。周りから舐めるように大事にされている。大妖の血を受け継ぐ若だんなはいつも妖怪がらみの事件に巻き込まれてしまう。今回はナント若だんなが吉原デビューを果たし・・・!?
微笑ましい病弱な若だんなと愉快な妖怪たちの物語。5つの物語の中で心に刺さったのは「ありんすこく」でした。若だんなが吉原にデビューしたことも驚きでしたケレドモ(笑)、なにが一番怖いかと言うことをまたしても思い知らされた気がして。こうして若だんなも病弱で世間知らずなりに成長していくのですねぇ。しみじみ・・・。
人の思いは不可思議だ。若だんなに分からぬ時もある。だが時として胸の内が騒ぐ。日々と共に忘れてゆくその心を、留めたくなる。何かが苦しいほどに、気持ちを揺らすからだ。
『おまけのこ』 2005.8.20. 畠中恵 新潮社
| 2005年09月15日(木) |
『日暮し 上下』 宮部みゆき |
湊屋総右衛門の妻おふじから逃れた葵は、《子盗り鬼》が出るという屋敷に住んでいた。他人を寄せ付けず、訳ありのお六母娘を住み込み手伝いをさせ、ひっそりと暮らす葵。その葵が殺された。下手人は遠い昔に葵が捨てた息子・佐吉!? 佐吉を慕っている弓之助は平四郎とともに真相を探り始めるのだが・・・
『ぼんくら』で湊屋総右衛門から道化の役を振られた佐吉。それは全て湊屋総右衛門が愛する葵(佐吉の母)を守るためだった・・・とは言え、母親に捨てられたと思い込んで生きてきた佐吉が哀れ。平四郎が言うように全ては湊屋総右衛門とおふじ夫婦に問題があると思うんだけどなぁ。おふじVS葵にしたって、湊屋総右衛門は葵を逃がさずに真っ向から闘わせればよかったのに。葵はそんなにヤワな女じゃなくってよ。空回りするおふじが誰より哀れだったのかもしれない。 『日暮し』は『ぼんくら』よりずいぶんとダーク。そのぶん弓之助もおでこちゃんも傷つき悩みながら成長していく。救いはそこだわ。きっとこれから先もふたりで助け合って事件を解決していくのでしょう。ふたりの新しい物語を早く読みたいものです。
それにしてもいい気分だ。釣り台に乗るのは癖になる。寝っ転がって、青空を仰いで、どこでもぶらぶらと運んでもらえるのだから。 みんな、毎日をこんなふうに暮らせたらいいのになぁ。 でも、そうはいかねえんだよなぁ。 一日、一日、積み上げるように。 てめえで進んでいかないと。おまんまをいただいてさ。 みんなそうやって日暮しだ。
『日暮し 上下』 2005.1.1. 宮部みゆき 講談社
| 2005年09月14日(水) |
『ぼんくら』 宮部みゆき |
深川北町にある鉄瓶長屋。築地の湊屋総右衛門という前身がハッキリしない男が地主。その日暮しの鉄瓶長屋の住人たちの周りで次々と異変が起こりはじめる。殺し屋が店子を殺し、名物差配人・九兵衛の出奔・降って沸いた壺信仰・・・そして長屋からひとり、またひとりと住人たちが消えていく。同心・井筒平四郎は、養子にしようと考えている美少年・弓之助と共に仲間たちの手を借りながら事件の核心に迫っていくのだがっ!?
『日暮し』を読み始めて思い立ち、『ぼんくら』を再読。うーん、宮部みゆきはやはりいいっ。グッジョブ★GJ! こういう人情モノを描かせたら右にも左にも出る人はいないのではないのでしょうか。ただただ人がいいと言うわけでなく、人間の汚さ・いやらしさもキッチリ出てくるし。どうにもならないこともあるとさらりと言い放つようなところがたまらず好きですネェ。 登場人物の魅力は言うに及ばず。ぼんくらな平四郎。美形で頭のいい奥方。渋い差配人に悩める若い差配人・佐吉。隠密の黒豆に驚異の記憶力を持つおでこ。人間誰をも転がしてしまう美少年・弓之助。苦労人のお徳さん・・・キリがにない。 その中でも私が興味を持ったのはふたりの女。ひとりは春を売る女・おくめ。ニッポンの母・お徳さんと出会えてよかったね〜と思えた女性。人生なんて辛いものと飄々と生きてる風情に惹かれます。もうひとりは佐吉の母・葵。思わせぶりなんだけど正体のない感じが想像力を刺激する。この女いったいなにをどう考えて生きてんだ?と。そしてその思いを晴らしてくれるのか(まだわからないけど)『日暮し』に続く模様。まったくもって宮部はんはソツがない。
「あら、あたし嫌われてるんですか。どうりで、家移りするって言ったらみんな愛想がよくなったわけだわ」 ケロケロと笑っている。
『ぼんくら』 2000.4.20. 宮部みゆき 講談社
| 2005年09月13日(火) |
『容疑者Xの献身』 東野圭吾 |
石神は天才と言われた数学者だが、今は高校教師として生活している。アパートの隣に住む靖子の弁当屋に通う事が唯一の楽しみ。その靖子が犯した事件を石神は庇おうと動き始める・・・
文藝春秋さんのサイトを見ていたら《担当編集者も連載中最後まで、石神がどういうトリックを仕掛けたか予想すら出来ませんでした》とあり、「ウッソー!」と声が出てしまいました。えっと不肖ワタクシめ、石神の毎日の描写シーンで想像ついちゃったんです。えへん。そんなもんだったので「東野さん今回はいまいち」って思っていたら、周りの反響もすこぶるよいようで・・・。うーん、やっぱりこればっかりはわからないもんだなぁとビックリしたのことでした。はい。
『容疑者Xの献身』 2005.8.30. 東野圭吾 文藝春秋
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