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2006年10月02日(月) ■
王様、キャバクラに行く










王様ははじめての海外視察におでかけ
野生の国のネオンの街へ
はじめてキャバクラというところに行きました
今夜はアーチの前で馬も降りて
どきどきびくびく歩きます

しゃっちょー。きょうはなにをお探しっすかー。
おにーっさん。かわいーコいまっす。まぢで。

家来たちは常連なので
十歩と前進させずに現われる客引きさんとも
平然と交渉します

『んー。いまのは怪しいですね。』
あ、そうなの?
『ここなんてよさそうですよ。しかも70分4000円。ここにしましょ』
あ、はい。
王様がだれかに「はい」と答えるのも
ずいぶん久しぶりのこと

お店にはいるとワイシャツネクタイのおにいさまたちが
丁寧にシステムの説明をしてくれました。
王様はいつこのひとたちがこわくなるのかと
どきどきびくびく
「はい」、「はい」ともうなんの威厳もありません

さてさて
女の子たちの登場です
みんな結婚式のようなドレスを着ています
うきゃ
王様は必死にゆるむ頬をひきしめます
それでついついタコのような口になってしまいます

『ゆりかです。ヨロシクおねがいしますー☆』
うむ。よろしゅうー
『お仕事はなにをされてるんですかー?』
IT関係社長
『えー!すごーい!!』
(さすがプロです)

『こういうとこはタバコは女の子がつけてくれますから
 自分ではつけないでくださいね』
家来が教えてくれていたので
悠然と火をつけてもらおうとしますが
いかんせん、くわえたタバコがふるえます

しかも一本消すごとに灰皿をかえてくれるので
なんだか吸いたいなと思っても手が伸ばせません
これ、娘。代えんともそのままでよいぞい。
『やさしいんですね〜☆」
(このへんがプロです)

王様は果敢に、無いアタマをフル回転させて
はなしを盛り上げ
女の子と仲良くなろうとします
相手によっては間がもたないときもあったり
お酒のいきおいもあって
肩を抱こうとしましたが、家来たちが止めます
え?これもダメなの?

『上客ならオッケーかもしれませんが
 たぶん今日のところは追い出されかねません』

異国の王様なので
この国のお金はあまりもってません
『ねぇ、私も一杯いただいていいですかぁ?☆』
けれど女の子たちにお酒を飲ませるわけにはいきません
素面のキミが好きだなー
とっさのひと言に
その空間の全次元が固まります
家来たちは見て見ぬ振りをしました

異次元のような70分が過ぎて
お店をでたあと王様はふと家来たちに言いました。
『いやあ。いい勉強になった。それにしても
 わしのところにばかりめんこい娘が来ちゃって
 なんだか、すまなかったな』
そりゃ、あんたが常連になりそうな
カモだと店側に思われたから、とは
とても家来たちは言えませんでした

王様は結局(それほどは)楽しめませんでしたが
自分の国にあったらいいなと思いました
そして、お金さえたくさんあれば
王様になれるのにな、と肩を落とし

女の子たちにもらった名刺を一枚ずつ
かなしそうに見つめるのでした