
|
 |
2008年02月04日(月) ■ |
 |
冬の餌食 |
 |
迂闊にも また、この大きな口のなかに 足を踏み入れてしまった つまり私もそのひとり つま先程度なら問題はないと 最初は誰もが思うけれども
その時点でもう手遅れ まだ引き返せる、まだ抜け出せる そう思う事こそ油断であり 仕組まれた罠であると 気付く前に膝から腿、一気に腰まで、 暖かな誘惑の口へと飲まれてしまい
下半身をこの魔物に食いつかれてしまえば もう身動きひとつ出来はしまい からだごと吸い付かれ 生気はたちどころに吸い取られてしまって もはやこの哀れな獲物の出来ることと言えば 狭まっていく視界のなかで 宙を仰ぎ、絶望をすることくらいのもの
ちくしょうもはやこれまでか じぶんはまだこんなにも若いのに 口惜しい、恨めしい まだやるべきことはたくさんあるはずなのに 此処には他に誰もいない 助けなどない 誰かが私の腕をつかみ「生きろ!」と絶叫しながら 一気に引きずりだしてくれるわけもない 諦めるしかない
このおコタからはもう出られまい おまけに目の前にはみかんもおいてある 各リモコンまで揃っている 蛍光灯にはながい紐が結わえ付けてある
意識が遠くなってきた
|
|