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2008年08月18日(月)
真夜中のパーティー(7)









一匹いれば三十匹いると思え、とか
名言吐いたヤツぁどこのどいつだ

あの、あの、
黒くカサカサとした蠢く恐怖生物
ゴ…(書きたくもない)
この世に安住は既にないのか
私がいったいなにをした

これまでの辛酸たる経験と
その傾向と研究、対策から
引越して以来、我が家は住居にして最終防衛線、
要塞と化していた
入居前のバルサンは当然のこと
収納、窓脇、台所下、エアコン周り、その他の
隙間という隙間をすべてガムテで埋める
つかってないコンセント穴を塞ぐ
換気扇にはフィルターを当然つける
横開きの網戸のある窓は極力開け放たず
お風呂の栓は水を抜いたらすぐ閉める
掃除はマメに
ゴミをためておくなんてもってのほか
ゴ○ジェットプロは各部屋に常備しておき
その銃口は常に威嚇として外へ向けておく
お札を貼る
毎朝祈る

その甲斐あって
我が家はこれまで天国はらいそ桃源郷、
戦火を免れ続けたサンクチュアリであった

では、いま私が
PCの前から立ちあがってお茶でも入れようとした私が
振り返ったその刹那
絨毯の上に発見してしまったものは
いったいなんであるというのか

こんなときまず為すべき事は
正気をかろうじてでも保つことであろう
気絶したら負けだ
その正体、存在意義、我が身の不幸を神に問うのは後だ
引越し以来ただの飾りだったゴ○ジェットプロM25ライフルを
その黒くてちょっと大きめの憎き塊にむけて構える、南無三っ
ぷっしゅしゅしゅー、すると敵は
あろうことか玉砕覚悟かこちらにむかって猛突進
ひぐわぁぁあぁああぁあがぁぁあああああぁぁぁあぁぁあぁぁぁいぃぃぃぃ


ついさっきまで夏の情緒に包まれた清廉な夜も
いまでは地の底から溢れ噴き出してくる漆黒の闇の液体
恐怖と憎悪、そして絶望
とても眠れたものではない
一匹おれば三十匹…?一匹おれば三十匹…?一匹おれば…?
おや、どこかから聞こえくる念仏
なんだ、じぶんの口が唱えてるのか

信じるものか、なるものか
信じてなんて

やんないもんね