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2009年08月31日(月)
作文。留守番。








10歳ともなれば、もうすっかり
いやんなっちゃうくらいオトナなので。

ぼくは留守番をすることになったのでした。
それもちょっとやそこらの留守番ではなく
とうさんとかあさん、どちらも出張へいってしまった
一晩中という大留守番であるわけでした。

こころぼそい、なんてないのでした。
こんなチャンスは滅多にきません。
いつもならできない、ぜったい叱られてしまうことを
ありたけやってみることができるのです。

ほら、テーブルに乗っかっちゃって
そのうえ腕をふりまわしてもみたりして
さらにはオブディオブラダを歌ってみて
ほらほら、やっぱり叱られないのでありました。

もちろんテレビはつけっぱなしにしておくのです。
夜中になっても消さないのです。
カルピスは氷だけのオンザロックで。
とうさんのワイシャツとネクタイをひっぱりだして
着てポーズをとってみたりもするのでした。
ベランダで漫画を読みながらごはんを食べたし
チョコのせカップめんは失敗でしたけど。
布団にのって階段を滑りおりてもみました。
でもあぶないので、下の三段目からでした。
思いきって
服を着たままお風呂にはいる、という挑戦も
やるだけやってみたのでした。
かなり気持ちわるかったですけれど。

とちゅうまではおもしろかったけれど
そのあとはだんだんと
なんだかつまらなくなってきちゃって、勿体ない気もしたけれど
いつも通りパジャマを着て歯磨きをして、寝ました。

翌朝にはぜんぶ片付けもして
しょうこいんめつしておいたので
とうさんもかあさんも
気付いた様子もなくって、何も言われませんでした。
でも何も叱られないとそれはそれで
ちょっと心細くもなってくるのです。

先生。
大人って子どものこと
なんでも分かるって、ホントですか?