妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
【桐野夏生 新潮社】
無人島に漂着、サバイバル物は色々あるけれど、これは32人が漂着、うち女が一人という状況。 サバイバルにしてはかなり大所帯。 流れ着いた島も、常夏で食べ物もそれなりに豊富で、だからこそ女を巡る戦いなんていう悠長なことも起こる。 そもそも、物語自体、漂着して5年目から始まるので、それなりの社会が形成されていたりする。 サバイバルというなら、自然に対してというより、人間関係におけるサバイバルの方が重点的。
島唯一の女、清子が若かったり美人だったりしたら、もっと惨事になっていたかもしれないけれど、46歳でしかも読む限りさほど美人でもなさそう。 そのあたりに桐野夏生の意地悪さが出てるなぁ。 流れ着いた誰も彼もが、性格に難があり、こんなに大所帯の遭難なのにちっとも頼もしい感じがしない。
最後までいったいどういう結末になるのか見えてこなかったが、なかなか底意地の悪いラスト。 嫌だなぁ。無人島生活…。 たった一人、よりも実は嫌かもしれない。
それにしても、けっこういっぱい漂着してくる島だったな。
映画は木村多江らしいけど、きれいすぎると思うなー。寺島しのぶあたりがいいと思うよ。
|