妄言読書日記
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2010年07月26日(月) 『東京島』(小)

【桐野夏生 新潮社】

無人島に漂着、サバイバル物は色々あるけれど、これは32人が漂着、うち女が一人という状況。
サバイバルにしてはかなり大所帯。
流れ着いた島も、常夏で食べ物もそれなりに豊富で、だからこそ女を巡る戦いなんていう悠長なことも起こる。
そもそも、物語自体、漂着して5年目から始まるので、それなりの社会が形成されていたりする。
サバイバルというなら、自然に対してというより、人間関係におけるサバイバルの方が重点的。

島唯一の女、清子が若かったり美人だったりしたら、もっと惨事になっていたかもしれないけれど、46歳でしかも読む限りさほど美人でもなさそう。
そのあたりに桐野夏生の意地悪さが出てるなぁ。
流れ着いた誰も彼もが、性格に難があり、こんなに大所帯の遭難なのにちっとも頼もしい感じがしない。

最後までいったいどういう結末になるのか見えてこなかったが、なかなか底意地の悪いラスト。
嫌だなぁ。無人島生活…。
たった一人、よりも実は嫌かもしれない。

それにしても、けっこういっぱい漂着してくる島だったな。

映画は木村多江らしいけど、きれいすぎると思うなー。寺島しのぶあたりがいいと思うよ。



蒼子 |MAILHomePage

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