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■ 「一周年、おめでとう。これからもよろしくね」
車から降りるとキーンとした空気が身体を包む。 川の流れる音が山間に響いていた。
私達が泊まった新館の部屋は、温泉旅館というより オシャレなシティホテルのようで、とても快適だった。
気持ちの良いお風呂と美味しい食事を堪能し、 ソファーに二人もたれ合い、ボジョレーヌーボーを飲みながら テレビで「グリーンマイル」を観た。
静かにゆっくりと過ぎてゆく贅沢な時間に、幸せを感じる。
テレビでは、囚人と看守が映画を観ているシーンが流れていた。 急に胸がいっぱいになって、涙がこぼれた。
ごめん…。なんか、哀しくなって来ちゃった。
ど、どうしたの!? 僕が冷たいから哀しくなっちゃったの?
違う、違う。 そうじゃないの。 映画がね、ぐずっ、切ないの。
そうなんだー。 すごいねー。 (これで泣いちゃうの!?というニュアンス)
う、だっで。 酔っでるどね、余計にね、涙腺がゆるんじゃうんだぼん。
泣き虫過ぎて自分でも嫌になる。
この1年間、彼の前でたくさんの涙を流したっけ。 よろこびながら、かなしみながら。
泣いている時の私は“本当の私”だって思う。 泣きながら、いつもそう思う。
出来ることなら泣かない強い人になりたい。
でも、 嬉しい時や哀しい時に泣けることは、幸せなことかもしれない。 泣きたいのに涙が出ないのは、とても苦しくて辛いから。
0時を過ぎたのを確認した彼がグラスを手にし 「一周年、おめでとう。これからもよろしくね」と笑った。
(これからも? こんな私でホントにいいの?)
はい。こちらこそよろしくお願いします。
そしてグラスを合わせた。 チーーンっていい音が響かなかったのが残念だった。
2003年11月23日(日)
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