早く迎えにきて。
裏日記です。
なので更新まちまち&暗い内容多いです。

2007年04月26日(木) 嫌われ者と修道士。

ひとりの嫌われ者がいた。
嫌われ者はワガママだった。
だから誰もが関わるのを嫌がった。
嫌われ者は一人だった。
だから寂しくてワガママは加速した。

悪循環だった。

そこに現れたのはひとりの修道士。
彼は嫌われ者の孤独を見抜いた。
彼は嫌われ者に付き合った。
もちろん全てのワガママを聞いたわけではない。
できないことははっきり「できない」と理由と一緒に告げた。
それを嫌われ者が理解するかしないかは重要ではなかった。
嫌われ者が激怒することもあった。
「もう二度と顔を見せるな」とも叫んだ。
それでも修道士は毎日会いにいった。

嫌われ者は修道士を無意識のうちに試していたのだ。
石橋を叩きすぎて渡る前に破壊していた。
そして壊れた橋を指差して言っていた。
「ほら、危ないじゃないか」

嫌われ者は誰よりも怖がりだったのだ。

修道士は嫌われ者のことを自分の子供のように愛していた。
その愛によって嫌われ者も徐々にかわっていった。
最初は微かな変化だった。
笑顔が増えた。
言葉遣いが優しくなった。

そしてワガママも減っていった。

愛されることは安心になり、愛されることは自信になる。

いつしか嫌われ者は誰からも愛される者になっていた。
そして誰よりも愛する者に。

愛する者は旅に出る。
自分と同じ孤独を抱えた者のもとへ。
こうして愛する者が世界に増えていった。


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笥龍 [MAIL]

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