代表試合のたびに同じことを書く。サッカーの日韓戦だ。W杯まで3年もあるこの時期、フレンドリーマッチなので勝敗は度外視しよう。それでも言いたくなるのは、いまの日本代表が後退を繰り返しているためだ。なんのためのW杯開催だったのか。W杯の遺産をきっちり継承していないことが、いまの代表チームの最大の問題だ。 まず、選手選考について――。ジーコ監督は鹿島アントラーズにとらわれすぎている。鹿島とジーコの関係は深い。自分が関係あったチームに思い入れを抱くのはよくあることだが、露骨な「鹿島偏重」で、公平さを欠いている。Jリーグの選手達は、鹿島に入団しなければ代表に選ばれないと、疑念を抱くだろう。 現在時点の最高の選手を代表に選ぶというのは「建前」か。Jリーグで活躍している選手を代表に呼ぶ、といったのはどこのだれだ。先発した鈴木、秋田、名良橋、中田(浩)、小笠原を現時点で最高の選手と考える人は少ない。秋田、名良橋の年齢は高い。ま、いい選手ならば年齢は問題にしないというのなら、それはそれでいい。それでも、いまのJリーグの成績から見て、市原、名古屋、柏の選手を入れるべきだ。小笠原よりは磐田の藤田、名古屋の藤本の方が、Jでは活躍している。秋田よりは浦和の坪井、右サイドバックは人材が少ないだけに、高齢の名良橋に代わる若手を試さなければいけない時期だ。もちろん、秋田も名良橋も悪い選手ではないけれど、私がいいたいのは、二人の力はわかっているのだから、この時期、もっと未知の選手を試した方がいい、ということなのだ。 これも繰り返しになるが、代表試合を全部勝つことなどできない。勝つことを求められているけれど、負けてもサポーターが納得できればそれでいい。3年後のドイツ大会予選を戦う選手たちは、きのうの日韓戦の代表選手たちでないことぐらいは自明のこと。今は失敗、間違いが許される時期なのだから、選択肢を増やすことを優先すべきなのだ。 第2には、A大新聞と珍しく意見が合ったことなのだが、攻撃の形についてだ。連携が悪いので点にならなかった、というのなら仕方ないが、きのうの日本代表は、チームとして、攻撃をしていない。攻撃を組み立てるのは小笠原の役割だが、トルシエが小笠原を代表合宿に呼びながら、すぐ帰した理由がわかったような気がした。小笠原にはマエストロは無理なのだ。体力・スタミナがあり攻撃的でスルーパスも出せるが、代表チームを有効に機能させるトップ下の力量はない。彼はむしろ、ボランチのほうが向いている。 前半風下のサイドにたった日本は、ロングボールでリスクを避けた。定石どおりだ。得点は0−0。韓国もリズムが出ない。日本やや優勢の場面もあり、よく守ったと見ていい。ところが後半、風上に立ったのに、攻撃の形ができない。中盤でキープしてからミドルシュートを打つスペースすら、空けられない。韓国を崩すための戦術を最後まで見出せなかった。もっとも、この結果は小笠原の責任ではない。ジーコ監督が攻撃の形を持っていないのだ。攻撃といえば、三都主の左からの攻撃だけ。それが封じられると、もうお手上げ。シュートは2本だったらしい。 では、どんな攻撃が得点の可能性があったのか――。たとえば、後半風上に立ったとき、左サイドの三都主が前を切られ、サイド突破できなけいとみれば、韓国守備陣が密着マークに来る前に、ゴール右をねらって長めの早いクロスを蹴りこんで、小笠原、名良橋があわせる、あるいは中山がヘッドで落とし、ニ列目が飛び込むという形があった。もちろんその逆もだ。大きくサイドチェンジをしてからであれば、なお有効だっただろう。 雨の激しいコンディション、風上の優位を生かし、早いクロスをトップにあてて、折り返しやこぼれ球からチャンスをつかむ。あるいは、ロングシュート、ミドルシュートでGKのハンブル、相手守備陣のクリアミスを狙うこともできた。 韓国はスタミナの切れた日本の左サイドを破り、フリーでセンタリング。それをアンがきれいに決めた。日本には反撃の力が残っていない。 攻撃の形もさることながら、日韓代表のパワーの差は、次第に大きく広がりつつあるように思う。オールド中山では、韓国DFの高さとパワーに通じない。交代で出た大久保のスピードが目立ったように、新旧交代を急ぎ、代表チームづくりに着手しなければ、手遅れになる。日本代表には、とにかく「強い」選手が必要であることはもちろんだが、神様で素人監督のジーコに代わる、プロの代表監督が必要だ。
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