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2006年03月26日(日) WBCとは何だったのか(続)

WBCの問題点については先回、述べた。日本が優勝したことで、WBCに係る制度が見直されるのか、米国の野球に関する単独行動主義が阻止できるのか。見方としては悲観的だ。MLB選手権を“ワールドシリーズ”と名づけてはばからない米国の傲慢さが、すぐに訂正されるとは思えないが。

●「巨人」の抹消こそが最大の成果
WBC開催、そして日本チームの成功の成果は何か。日本の野球界にとって最大の成果は、「巨人」野球が完全に終わったことを世に知らしめたことだ。WBCに召集され出場を許諾した選手たち――出場選手の所属は、イチロー、大塚のMLB組をのぞけば、パリーグの選手が大半を占めた。活躍した選手の中でセリーグの選手といえば、韓国戦で好投した上原(読売)、同じく代打本塁打を放った福留(中日)くらいしか思い浮かばない。それに反して、MVPの松坂(西武)、DHの松中(ソフト)、西岡(ロッテ)、渡辺(ロッテ)など、チームの主力はパリーグで占められていた。王代表監督は読売の主力打者だったが、監督としての才能は読売時代よりも、パリーグのダイエーホークスで花開いた。活躍した読売の上原は元来MLB志向が強いといわれ、「巨人のエース」で満足するような選手ではない。

●スピード、パワー、センスが野球の真髄
日本チームを構成する選手たちの資質は、かつて「巨人」が求めたホームラン打者とは異なっていた。WBCに出場した代表選手(野手)は、打って走れて守れて、そして、野球センスに非凡な選手だった。くしくも王代表監督は、リーグで戦う自らのチーム(=ソフトバンク・ホークス)のコンセプトを「スモールベースボール」と名づけている。王監督は、城島がMLBに移籍した後の自らのチームの理想像を、WBC代表チームに求めているのかもしれない。
読売は、長嶋が監督を務めた時代、豊富な資金とFA制度を使って、各チームの4番打者を集めた。ところが、巨人=ドリームチームがペナントレースで勝てないことが実証された。日本プロ野球はロッテに代表される、スピード、パワー、センスを中心としたチームが勝利をおさめるようになった。無名でも、才能溢れる選手を鍛え、経験を積ませて、チーム力で勝利する。こうした野球が主流を占めることによって、やっと、野球が読売新聞の販売促進ツールから、真のスポーツ・エンターテインメントに脱皮することが可能となる。そのことこそ、当コラムで筆者が訴え続けてきたスポーツとしての野球像そのものだった。WBCにおける日本代表の優勝が、「巨人」を中心とした、これまでの日本プロ野球の方向転換の道標となる。
日本の野球ファンは国別の代表戦をTV観戦することで、これまでの「巨人」野球のつまらなさに気づいた。常勝巨人という、緊張感のない「プロレス野球」に比べれば、WBCの野球は意外にも、スリリングなスポーツだったことを発見した。真剣勝負の厳しさと面白さを発見した。さらに、身近な隣国である韓国野球のパワーを基本とした強さを知って、「巨人」野球の“まやかし”をさらに思い知ったに違いない。
WBC第一回開催の意義とは、�(胴颪�、野球における単独行動主義を捨てる可能性を示したこと、��日本が、巨人野球を捨てる可能性がすぐそこまで来たこと――の2点を確認したことだろう。とりわけ、「巨人」一極集中の崩壊は、筆者の予想より早くやってきそうだ。WBCが意外な副産物を届けてくれた。


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