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2007年07月16日(月) オシム采配に疑問あり

アジア杯・グループCでは、中国とイランが引き分け。イランはマレーシアとの最終戦を残しているので、勝点3が固いところ。同グループを1位で通過する可能性が高まった。中国はウズベキスタンと2位通過をかけて戦う(可能性が高い)。この試合はおもしろそう。どちらも大型チーム同士、力と力の激戦が期待できる。お見逃しなく。筆者の大会前の予想では、イラン(1位)、中国(2位)だった。

Dグループは混戦模様というよりも、韓国がバーレーンに負けて予想外の最下位に転落。これで、グループリーグ進出が厳しくなった。残り3チームのうち勝点1差で首位のサウジアラビアが、韓国を破って勢いに乗るバーレーンと戦う。バーレーンが予選通過をかけ、死に物狂いで闘いを挑んでくるにちがいない。その一方、ホームのインドネシアは、最下位の韓国と最終戦を戦う。この試合もグループリーグ突破をかけた熾烈な戦いになるだろう。インドネシアがホームの応援を背景に、韓国から勝点3を奪う可能性が高い。ということは、インドネシア(1位)、サウジアラビア(2位)もあり得る。筆者の大会前の予想は韓国(1位)、サウジアラビア(2位)だった。

さて、アジア杯のグループリーグ2戦を見た限りで、日本代表(オシムジャパン)の課題と成果を検証してみたい。たった2試合でわかるのか――という意見もあろうが、筆者には、中東勢の2試合で日本代表の全容――現状の課題が明らかになった。

筆者の問題意識は以下のとおり。�ヽこ袷箸亮体蓮蔽翅悉咫�高原)、�▲�シムチルドレン(山岸、羽生、巻、水野)の実力、��SB(左SB=駒野、紺野、右SB=加地)の評価、�ぃ達臓蔽聨掘�阿部、坪井)の実力

� Х覯未�ら見れば高原を合格、中村俊を評価保留としたいところだが、高原の最終的な評価は難しい。昨年のドイツW杯のころ、当コラムで書いたことがあるが、高原は調子の波が激しい選手だ。W杯ドイツ大会では、親善試合のドイツ戦で最高の動きをしながら、本戦のグループリーグで調子を落とし、まったく仕事をしなかった。アジア杯では2試合連続ゴールの3得点と好調を維持しているが、高原の特性から判断すると、日本が高原依存の得点パターンから脱しないと危ない。高原に限らず、FWは調子の波が激しいポジションだが、高原がだめなとき、日本がなんらかの形で得点を上げなければ、アジア杯はもとより、W杯アジア予選でも勝ちきれない。いまのところ、高原を凌ぐFWがいないという現実をどうとらえるか。高原(FW)抜きで、点を取るかたちを学ぶ必要がある。たとえば、高原不在の場合、巻のワントップ、2シャドー(俊輔・山岸)の飛び出しによる得点機会の追求だ。この形は初戦のシステムだが、機能したとは言い難い。

中村俊はドイツ大会より積極的で、得点に絡んでいる。FKについても代表選手中最高の技術をもっていることが証明された。その点では合格に近いのだが、一方、初戦のカタール戦では、2シャドーの一角としてまったく機能しなかった。ゴール前への飛び出しという面では、山岸の動きのほうが良かった。ミドルシュートもない。

�◆Д�シムチルドレンから阿部を除外したのは、阿部はオシムチルドレンという枠組みに納まらない逸材だからだ。というわけで、一般に評価の低い山岸から始めよう。千葉時代、そして現在も、オシム監督が山岸に対して高い評価をくだしていることは、よく知られている。ところが、部外者にはJリーグを含めて、山岸の実力を測りかねている。オシムが高い評価をくだすということは、山岸の潜在能力が相当高いことを意味するのであろうが、少なくとも代表及びJで結果が出ていない。オシムの評価が正しいか正しくないかは、山岸が結果を出すしかない状況にある。

オシム監督は、羽生を相手の足が止まった後半の時間帯、彼のもつ豊富な運動量と俊敏な動きが得点シーンを生み出す、もしくは、相手を守勢にまわらせる、というイメージの下、起用していると思うのだが、いまの代表チームでは、羽生が動いてつくりだしたスペースを生かせる選手がいない。羽生の動きに連動できる選手とセットでなければ、彼の良さは生かされない。羽生がジョーカーになるほど、彼の個人技は高くない。つまり、羽生の投入は結果として成功していないということだ。羽生がいまの日本代表に必要かそうでないか――の結論としては、不要論のほうが勝っている。

第2戦で先発した巻は、得点シーンにからまなかった。巻は付与された役割を最低限果たしたという意味で合格なのだろうが、相手が1人少なくなった試合で得点できなければ、FWとしては信頼しにくい。UAE戦、3−0でリードし、しかもUAEに退場者を出した段階で、体調の悪い高原を外して、FW佐藤の投入もあり得た。佐藤だって、前線から守備をする。オシムは水野を起用したのだが。

筆者は、オシムチルドレンに対して低い評価をつけたい。オシムの意図が実現していないという意味で、彼らは期待にこたえていない。問題はむしろ、オシムが教え子の千葉の選手しか信頼していないかのような、あからさまな千葉偏重の選手起用を続けることのほうだ。選手交代の選択肢を広めなければ、近い将来、苦境を招くだろう。

��:筆者が前から疑問に思っていたのは、いまの日本代表には中村俊以外、レフティーがいないことだ。世界のサッカー界では、左利きを右サイドに、右利きを左サイドに起用する傾向にある、ということは心得ているつもりだが、サイド攻撃の基本は、ライン沿いに駆け上がり、速いクロスボールを放り込んで、中の選手がそれに合わせて得点するというものだ。オシムジャパンでは、加地の右サイドからの攻撃からしか、そのパターンが見られない。とりわけ、左サイドの攻撃は、ライン沿いに駆け上がった選手が中に切り込んでシュートを打つか、「よいしょ」と右にボールを持ち替えて。クロスボールを上げるシーンばかりだ。左サイドにも、ウインガータイプのレフティーが一枚ほしい。たとえば、FC東京の鈴木規も選択肢の1つだ。いまの代表の左サイド(の駒野、今野に実力がないということではなく)には、そういう意味で不満が残る。
�ぁВ達造涼聨掘�阿部は合格だ。阿部は第1戦ドローの戦犯にされたけれど、確かにミスには違いないが、あのシーンを除けば合格だ。トゥーリオの復帰、坪井の復調もあるだろうから、代表のCBは人材面で安定してきている。中澤の復帰が大きい。

結論をいえば、2試合を通じて、オシムの選手起用及び采配には疑問が多い。とりわけ、勝っている試合をコントロールする、もしくは、クローズする方法論を選手はもちろん、監督自身が描けていない。チームとして試合を制御できていないのだ。

羽生、水野といった運動量をもった選手を後半起用するという意図は間違っていない。彼らが愚直に前から守備をするというのも、終盤の試合運びの選択肢の1つとして正しい。ただし、それは選択肢の1つにすぎない。アジア杯のような公式戦真剣勝負では相手も必死だから、試合の終盤を捌ききることは最も難しいことの1つだ。しかし、チームに落ち着きを与え、相手を押さえ込むようなパワーを持たなければ、今後のW杯アジア予選で勝ちきることもまた難しい。

安定した守備(ボールを相手に渡さない)のできる守備的MFの起用、二列目で暴れまわれる攻撃的MFの起用、疲労した相手DFの裏をとれるFWの起用・・・相手と状況に合わせて、選手交代の幅を広げる必要がある。

オシム監督でなくとも、一枚のジョーカーに依存したい気持ちがわからないわけではない。ただし、その一枚が羽生でいいのかかどうか・・・筆者は、サッカーというゲームに絶対的ジョーカーがいるはずがないと確信している。羽生はプライオリティーの高い一枚ではあるが、彼を絶対化・固定化してはいけない。オシムには、千葉以外の選手も信頼しろ、と言いたい。


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