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2007年07月23日(月) アジアから聞こえる警鐘

●日本と豪州―ドイツ大会当時もいまも実力は互角―

アジア杯決勝トーナメントの初戦、日本はオーストラリアを破ってベスト4に進出した。(※ただし、90分間では1−1のイーブン。しかも、オーストラリアに退場者が出て、日本のほうが1人多かった。試合結果は日本のPK戦での勝利)

オーストラリアといえば、およそ1年前、W杯ドイツ大会の予選リーグにおいて、日本が1−3で負けた相手。当時、日本国中がその衝撃的な敗戦に驚き、嘆き悲しんだものだった。

当時の代表監督ジーコは、日本の敗因を、�‖領郎后β粒丙后↓�日本向けテレビ放送の時間の都合による、30℃近くの日中開催という悪条件によるもの――と総括した。このようなジーコの粗雑な敗北の総括に対し、日本中から知的反論が沸き起こったことは、記憶に新しい。そして、ジーコ路線に真っ向から対立するサッカー理論の持ち主であるオシム氏が代表監督に就任。このたびのアジア杯という公式戦で、オーストラリアと再戦を果たしたというわけだ。

筆者は当時、ドイツ大会の対オーストラリア戦の結果を、引分と当コラムで予想した。もちろん、この引分で、日本はクロアチア、ブラジルに負け、予選敗退することは当然という認識だった(結果は、クロアチアと引分、ブラジルに敗戦で予選敗退)。

筆者が引分とした根拠を大雑把に言えば、〔個〕の力でオーストラリアが日本より上である一方、〔組織・技術・経験〕で日本のほうが上であるから、0−0もしくは1−1で終わるというものだった。

オーストラリア代表は、当時もいまも変わらない。選手の大部分が欧州、とりわけ、英国プレミアリーグで活躍している。一方の日本代表(当時)は、稲本がプレミアで控え、中田英がプレミア失格、川口がプレミアの下のイングランド一部リーグ(ポーツマス)失格といった状況だった。個の力量ではオーストラリアが圧倒的、ただし、オーストラリアはW杯は初出場だし、オセアニア地区という地理上のハンディキャップがあり、代表チームとしての国際経験は少ない。南米とのプレーオフでウルグアイをくだしたのはラッキーだったのではないか――というのが筆者の考え方だった。

●両者のこの1年―日本は進歩し豪州は退歩した―

さて、このたびの再戦結果をどう評価するか――オーストラリアは退歩し、日本は若干進歩を見せた、と筆者は考えている。チーム構成→オーストラリアはドイツ大会とほぼ同じ、日本→現在、イングランドプレミアに在籍する日本人選手は一人もいないので退歩。監督の力量→オーストラリアはヒディングからアーノルドで退歩、日本はジーコからオシムで進歩、コンディション→ドイツも暑かったらしいが、ベトナムはもっと暑いのでほぼ同じ・・・ということで、日本がドイツ大会より上回っているのは、代表監督(ジーコとオシムの能力差)くらい。

現に、日本はオーストラリアの主砲・ヴィドゥーカを完璧に押さえ込んだが、これはオシム監督が日本のDFに正しい指示をだした結果である。また、オーストラリアがドイツ大会で同点となるきっかけとなったロングスローも完璧に押さえ込んだ。これも、オシム監督の指示の的確さである。数え上げればきりがないが、いずれも、ドイツ大会当時、ジーコ監督がオーストラリアチームを緻密に分析していれば、なし得たものばかりなのだ。つまり、当時のジーコ監督は、相手を正確に分析する力量をもっていなかった。もちろん参謀役の実兄・エドゥーしかりである。

それだけではない。最も重要なのは、ジーコが日本の敗因として挙げた日本とオーストラリアの体格差、体力差をアジア杯ではいささかも感じなかったことだ。オシムが言うように、サッカーはレスリングではないのだから、体格差・体力差が勝敗の絶対的な基準にはならない、つまり、体格が相手に上回っているという現実は、プラスにもマイナスにも作用する。

オーストラリアの主砲・ヴィドゥーカは、Jリーグ浦和のFW・ワシントンに似たタイプ。ペナルティーエリア内やその近くでは、重量で相手DFを跳ね飛ばし、優位な位置取りをしてシュートを放つ。ところが、アジア杯で日本のDFは中澤がマンツーマンでつき、さらに、危ない場面では複数でヴィドゥーカを挟み込んだ。さらに、ボックスから遠ざけるように遠ざけるように、圧力をかけ続けた。かくして、ヴィドゥーカは力を出し切れず、途中交代を余儀なくされたわけだ。しかも、日本が遂行したヴィドゥーカ対策は、オーストラリア戦の直前、オシム監督が報道陣に公開したとおりのものだった。体格・体力で劣る日本選手でも、正しい対処方法を身につければ、一対一で負けない。オシム監督のヴィドゥーカ対策に、その典型を見た思いだ。Jリーグで浦和と対戦する各チームは、オシム監督のヴィドゥーカ対策を、ワシントン対策として取り入れていただきたい。

●サウジアラビアは手強い相手―いまの日本はアジア10位以内―

ベスト4を決めた日本だが、次戦のサウジアラビアには相当苦戦する、と見ている。筆者は、サウジアラビアチームこそが、本大会ナンバーワンだと確信している。もちろん勝負だから結果はわからないが、日本の苦戦はまず間違いない。スピード、スタミナ、選手の身体能力(走力、ジャンプ力)、アイデア・・・ブラジル人のヘリオ・ドス・アンゴス監督はいいチームをつくってきた。

弱点はGK。サウジアラビア代表チームでは、アジアナンバーワンの座を長らくキープしてきた伝説のGK・モハメド・アル・デアイエが長らくそのゴールを守ってきたが、既に代表を引退している。その後を受けたのがアル・ムサイレムだが、彼はモハメド・アル・デアイエより安定性に欠ける。

日本が本大会で優勝するのか、ベスト4で終わるのかはわからない。けれど、現時点では、日本は、サウジアラビア、オーストラリア、韓国、イラン、イラク、ウズベキスタンとほぼ、同列に並んでいるように思える。サウジアラビアはこのグループの中で一歩リード。韓国は欧州組が不参加でベスト4に入っているから、ベストメンバーの日本と比較すると、選手層の厚さという点で日本より実力が上か。

ベスト8外だが、予選で日本を苦しめたカタール、同じく韓国に勝ったオマーン、今回はチーム作りに失敗した中国、躍進著しい東南アジア勢もあなどれない。本大会に来られなかったクェート、北朝鮮等を含めると、“混沌とするアジア”という表現こそが相応しい。

日本がW杯予選で4席のうちの1席を定席としていた時代は終わった。日本がW杯予選で常勝という時代は過去となりつつある。そのことをはっきりとさせるためには、本大会で日本はサウジアラビアに負けたほうがいいのかもしれない。

日本ほどの資力、情報力をもつ国ならば、サッカーでアジアに埋もれるわけにはいかない。そのためには、Jリーグをいかに強化するかしかない。アジア(杯)が日本サッカーに対して、警鐘を鳴らしている。日本のサッカー関係者にその音が聞こえているのだろうか。


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