| 2011年01月27日(木) |
決勝進出の影に潜む日本代表の不安要素 |
アジア杯準決勝は、日本が韓国にPK戦で勝利し、決勝でオーストラリアと対戦することが決まった。日本がアジアでベスト4以上の力があることが証明されたわけだが、だからといって、2014年ブラジルW杯の予選通過が保証されたわけでは無論ない。
◎代表チームの状態は万全ではない
アジア杯に臨んだ日本のチーム状態は、おそらく、過去のいずれの大会よりも悪かったことであろう。Jリーグ所属の代表選手はポストシーズン、海外組はシーズンの真っ最中、どちらとも異なる意味で、コンディションづくりが厄介だ。加えて、Jリーグ所属の代表選手の中には、海外移籍交渉中という者も少なくない。就職活動中となれば、集中力もなくなるものだ。さらに、前年のW杯南アフリカ大会で「燃え尽き症候群」に陥ったベテラン代表選手や故障者も多かったため、代表選考も困難を極めた。
そんな状態で決勝進出を果たした日本代表選手のがんばりは賞賛に値するし、先取点を取られても試合をひっくり返す、逞しさが頼もしい。
◎不安定なDF陣
課題も多い。筆者が感じている最大の不安は、GKを含めた守備陣だ。前年のW杯南ア大会では日本の守備の強さが評価されたけれど、アジア杯では、GK及びCB並びに右SBの不安定さが目に付く。ザッケローニが先発起用したGK川島、そして、今野、吉田の両CBは、ここまでの5試合(グループ予選3試合、決勝トーナメント2試合)で、川島、今野が相手にPKを献上しているし、川島、吉田はレッドカードによる退場処分を受けている。川島は韓国とのPK戦で存在感を示したが、フィールドプレーでは、安定感に欠ける。また、右SB内田もイエローカード累積によるサスペンションがある。
日本代表選手への警告については、「アジアの笛」によるもので、世界レベルの審判が裁く国際試合ならば、退場には至っていないという見方もあるかもしれない。だが、これまでのアジア杯ではこんな結果になっていないから、やはり、現在の日本代表の守備陣の状態は普通ではない。
そればかりではない。左SBの長友の活躍に比べて陰が薄いのが右SBの内田だ。攻撃力、守備力とも、貢献度が低い。DF陣5人(GK、CB2、SB2)のうち、合格は長友ただ一人。
ずばり言えば、�‖緝修裡韮砲蓮∪酖腆�西川→権田でいいのか、��右SBは内田でいいのか、��CBの今野、吉田は、中澤、闘莉王の後継者となれるのか――ということになる。ザッケローニのファーストチョイスが正しいかどうかは、彼らの今後の成長次第ということになりそうだが、これらのポジションに該当する、他の選手の台頭のほうに筆者は期待している。
◎ポストプレーができるFWの不在
日本代表のワントップに値するFWが不在なままであることは、南ア大会から持ち越された課題の一つだ。南ア大会でも、アジア杯でも、結局のところ、このポジションをMFである本田が代行し、それなりの成果を出している。だが、このままであれば、日本代表は「本田依存」のワンマンチームで終わる。アジアレベルでは、相手チームの本田に対するマークが甘いが、世界レベルならば、本田は徹底的にマークされ、本大会のように自由にプレーすること(=ボール・キープすること)は難しい。本田が早めにつぶされれば、日本の攻撃的パスの出所がなくなり、日本の攻撃力は激減する。
本大会では前田がワントップに起用されている。彼は、サウジアラビア戦、韓国戦で得点を上げたため非難の対象になっていないが、ワントップが果たすべき最重要のミッションを全うしているかといえば、筆者の見方では、「ノー」となる。
◎ザッケローニの采配に疑問
韓国戦、延長で1点リードした段階で、ザッケローニは5バックへのシステム変更と守備固めのための選手交代を行った。彼は「降りた」のだ。監督の弱気が、ピッチ上の選手に乗り移り、日本の選手はゴール前に引いてしまった。その結果、相手にバイタルエリアを支配され、土壇場で追いつかれ、PK戦までもつれた。そればかりではない。長谷部の故障の状態を見極める決断を含め、選手交代に係る判断が鈍かった。
重要なのは、いまの代表チームが超守備的5バックの練習を取り入れていたのかどうかだ。管見の限りだが、そのような形跡はない。自陣に下がり、守備的選手で固めるという戦法は、目先の「勝ち」を拾おうとする、卑しさが滲み出ていないだろうか。筆者は、日本がまだカウンターを狙っている、という警戒心を相手にもたせる選手起用をとる監督を支持する。その結果、同点に追いつかれたとしても、積極戦法を取った監督を非難したりはしない。
PK戦で韓国に勝ったことにより、ザッケローニの采配ミスを非難するスポーツ・メディアは(これも管見の限りだが)皆無のようだ。いうまでもなく、PK戦は記録上は引分であって、日本は韓国に勝利していない。もちろん、日本が韓国に勝てなかったのは、ザッケローニ監督の采配ミスに帰する。
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