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2011年03月02日(水) 杭州ショック

昨日(3月1日)行われた、サッカーAFC(グループF)、日本のリーグ王者・名古屋グランパスエイトと中国の同4位の杭州緑城の対戦は、名古屋が0−2で杭州に完敗した。この試合をTV観戦した筆者は、名古屋の敗戦内容に大きなショックを受けた。

日本のスポーツジャーナリズムは、日本のチームがアジアの敵地で戦うとき、ことさらに、その「特殊性」を強調する。聞き飽きたフレーズとして、例えば、アウエーの洗礼、アジアの「笛」等の表現を挙げることができる。このような傾向こそ、愚かな観念的思考というほかない。サッカーでは、アウエー不利がグローバルな傾向そのものであって、アジアに限った「特殊性」ではないからだ。

日本のサポーター諸氏は外国クラブや外国代表チームを迎えても、彼らに対して犯罪行為に近いような迷惑行為を及ぼすことはない。しかし、グローバルスタンダードに従えば、日本のサポーター諸氏の「紳士的態度」のほうが「特殊」といえる。

ピッチ状態についても、その状態は各国様々であって、世界統一の整備仕様があるわけではない。気候・土壌等に規定された芝の生育状況は各国の風土に応じて千差万別だ。整備に投じる費用も異なる。その結果、ピッチ状態もいろいろ。

そればかりではない。試合を裁く主審の判断基準は、彼らが仕事をする国の傾向によって異なってくるし、彼らが人間である以上、興奮した大観衆を意識しないほうが不自然というものだ。

だからといって、筆者は、諸外国における、敵(=相手チーム)を迎える行動や状況の「良し悪し」を論ずるつもりはない。日本人サポーター諸氏の紳士的態度が悪かろうはずがないし、彼らの相手チームに対する公平な応援や、ファインプレーに対する賞賛の拍手を改める必要があるとも思わない。そのような態度が日本のサッカー風土ならば、それを認める。また、その一方、相手チームに対して狼藉を働くような外国サポーターの存在も認めざるを得ない。それが、いま現在の世界各国のリアルなサッカー風土なのだから。サッカーの試合は、各国それぞれの事情、状況において開催され、サッカー選手は、そこでその状況に応じて戦う宿命を負っている。

さて、名古屋グランパスエイトである。この試合に限れば、名古屋の敗北は「アウエーの洗礼」とはまったく関わりがない。名古屋の負けは、正真正銘の「力負け」だった。

先般のアジア杯、日本代表は苦しみながらも、アジアを制した。そこに、代表チームの成長を見た。ところが、クラブ・レベルでは、日本のJリーグ優勝者・名古屋グランパスエイトは、中国の同4位の杭州緑城に比べて、明らかに見劣りした。名古屋が得意とする長身FWケネディを使った「高さ」を生かした攻撃が、杭州緑城にはまったく通用しなかった。名古屋の「高さ」を使った攻撃は、“ひ弱な”Jリーグでのみに有効であって、フィジカルの強い杭州緑城のディフェンスからは得点を奪えなかった。Jリーグ仕様の「高さ」は、失礼な言い方だが、中国リーグ4位のクラブにすら、通用しなかった。

杭州緑城のホームグラウンドのピッチは、TV映像で見る限りだが、名古屋がJリーグ(日本)で使うピッチとは異なる状態のように見えた。名古屋の選手が放つパスは伸びを欠き、ボテボテとスピードを落としていた。ならば、早いパスを出すためには、強く蹴らなければならない。パスが伸びなければ、相手DFからしてみれば、相手に寄せる時間的余裕が生まれる。当然、相手と厳しく競り合う局面が増加する。その局面で負けていれば、試合の主導権は奪えない。そして、この試合、そのとおりの結果となった。

名古屋の2失点は、名古屋の左サイドを崩されたものだった。名古屋の左SB阿部翔平の動きの鈍さが狙われた。後半、スピードの落ちた名古屋DFが杭州緑城の攻撃陣の動きについていけなくなり、ラミレス(後半15分)、バリ(後半41分)に得点を許した。

杭州緑城はフィジカルで名古屋グランパスを上回っていた。パワー、スピード、アグレッシブな精神等で彼らのほうが名古屋より上だった。そればかりではない。注目すべきは、チームを支える外国人プレーヤーの質が高いことだ。得点をあげたFWラミレス(ホンジュラス)、中盤で献身的な働きをしたMFマシエロ(ウルグアイ)及びMFバスケス(同)、故障で途中交代したが、DFアダム・グリフィス(オーストラリア)の4人の外国人選手は、Jリーグでプレーする外国人に比べて、フィジカル(スピード、パワー)面の強さ、厳しさを感じた。

杭州緑城のDFの強さも目立った。中国代表主将を務めるドゥウェイをはじめとする3人の代表選手を中心にして、名古屋の攻撃を封じた。先述したとおり、名古屋がJリーグを制した「高さ」が、杭州緑城にはまったく通用しなかった。

杭州緑城が名古屋グランパスエイトを上回ったポイントを以下、まとめておく。�ヽ姐饋優廛譟璽筺爾離好�ウティング、�∩�手個々のフィジカルの強さ、�9況眦�精神、�す脅蕕寮擇蠡悗┐料瓩機↓シ萃衫蓮宗修函▲皀瀬鵐汽奪�ーに必要とされる要素のいずれにおいても、杭州緑城のほうが名古屋グランパスエイトを上回っていた。そしてなによりも、杭州緑城が目指すスタイルのほうが、モダンサッカーのグローバルスタンダードに近い。

ところで、筆者が感じる杭州という地域イメージは、中国における北京、上海、広州等に比べて、どちらかといえばマイナーなように思える。その杭州にかくも強力なサッカークラブが存在し、しかも、実績において中国では4位であった事実こそ脅威でなくてなんであろう。

GDPで日本を抜いた中国――サッカーにおいても、日本を抜くことは時間の問題のように思える。そのことこそが、筆者が受けた「杭州ショック」のすべてである。


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