ぐーたらへぼにっき


2003年07月24日(木) 愛の死

やさしくおだやかに

あのひとは微笑んでいる

眼を

かすかに見開いている

あたたちにはそれが見えないの?

あのひとがだんだんに

光り輝きながら

星明りに包まれて

空高く昇っていくのが?

あのひとの心臓は

高らかに鼓動して

あのひとの胸をいっぱいにふくらませている

唇からは

馥郁と香る

甘やかな息が

かすかに洩れている

みなさん!ごらんになって!

みなさんには分らないの?

この調べが聴こえているのは

わたしだけかしら?

しめやかな

妙なる音色で

喜びを嘆き

すべてを語り

おだやかに宥める調子で

あのひとから出た響きは

わたしをみたし

天翔ける勢いで

朗々と響きながら

一面に鳴りわたる。

いやましに冴えた音色で

わたしのまわりにうねるのは

そよ吹く風の

波なのかしら?

それともかぐわしい

香りの大波?

だんだんに波が高まり

ざわめきが私をつつむ

吸い込んだらいいのかしら?

それとも耳をすましたらいいの?

すすりながら

とっぷり浸かったらいいのかしら?

香りの海に

快く息たえればいいの?

大波が打ち寄せ

高鳴る響きは鳴りわたり

世界の息吹が吹きかよう

万有のうちに

溺れ

沈む

われ知らぬ

至高の快楽


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