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■妖怪の誕生
2000年05月28日(日)
アブナイ人に遭遇する確率が近頃高くなっている気がする。


お正月の、松の内が開けた頃、
職場の受付に突然50代くらいの見知らぬオバサンがやって来た。
なんでも、ついこないだまで会社の入口に
飾ってあった松飾りが欲しいのだという。

受付嬢は答えられず仕方なく僕が出た。

でも僕も既に捨てちゃったかどうかなんて総務あたりに
聞かないと分からないし。

で、この人、ちょっとアブなくて、

「さっさとよこしなさいよ!私はココの一番偉い人知ってるのよ!
 その人出しなさいよ!」

とキンキン声で怒鳴るんである。とても人に物を頼む態度ではない。
”偉い人を知ってる”というのはクレーム魔の常套句だし。

まともな人ではない、と思い、

「今日は答えられない、松飾を手配した部署に確認しておくので、
 数日後電話して下さい」となんとか納得させ、帰ってもらった。

それっきり電話も本人も来なかった。

そして今日、会社の前の道で女性2人が大声で口論していた。
通りかかった僕と同僚は、会社の真ん前で…、
ということもあり仲裁に入った。

一人はベビーカーに赤ちゃんを乗せた30才くらいの奥さん。
そしてもう一人は…松飾りクレクレおばさんだった!!!
顔を見て思い出した!

話を聞くと、2人がすれ違いざま、ベビーカーが
松飾りおばさんに当たった。
奥さんはすぐ謝ったのだが

松飾りおばさんは怒ってなんと、

赤ちゃんの頭を引っ叩いたのだという。
行動が尋常ではない。

奥さんに非があるなら奥さんに抗議するべきであって、
赤ちゃんに手を上げるとはやはり異常である。
奥さんもこのことを繰り返しおばさんに訴えていたのだが
まるで聞こうとしない。

奥さんはごく普通の人だった。
きちんと僕らに事情を説明するのだが、

それに対しおばさんが訳のわからない横槍を
ギャンギャン入れて話の腰を折る。

いいかげん通行人もジロジロこちらを見るし、
埒があかないので

「じゃあ、近くに交番があるから、そこで白黒つけたらどうですか?」

と僕らが言うとそのおばさん、ダッシュで逃げた。
見かけからは想像できない素早さだった。

奥さんは

「これから電車で帰るんだけど、途中また来たらどうしよう…」

すっかりナーバスになってしまった。

赤ちゃんは何事もなかったのようにキョロキョロしていた。

可愛かった。

僕らはなんとかなぐさめて駅の改札まで付き添って見送ったが…。

まるで化け物を見た気分だ。
こうやって妖怪の伝説が誕生するのかなあ、
などと思った。

松飾りババア。←命名。
今日もアリガトウゴザイマシタ。

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