lucky seventh
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2007年07月08日(日) |
誰そ彼の足音 月シリーズ |
誰そ彼は?の足音は
闇雲のなかを走り、君は笑った。
「神さまはすべてを救うために ただ一人に、すべてを救うその術をさずけた。」
「それが君の力?」
「そう。 だけど…そのすべてを救わせるのに、 神様は、私は助けては下さらなかったわ。」
「それは…」
「私はそのすべてに入らないの? それだけの存在? それとも私はすべてを救うための道具だから、 道具に救いなんていらないってことの??」
走りながら、彼女は笑った。 それはまるで、その闇夜に紛れそうな儚い笑顔だった。
「ねぇ、助けてよ」
ふいに彼女は呟いた。 彼女は祈るように頭上を見上げ、居もしない神に。
「ねぇ、助けてぇ…」
密やかに、 囁くように、 彼女は声をもらす。 彼女の隣で走る僕は、 風に流されて 聞こえないふりをした。
「ひどいやつだ」
そんな僕の態度に、彼女は目じりを真赤にして おかしそうに笑った。 僕は何も言えなかった。
結局、彼女を救ったのは神でも、僕でもなかった。
「サクヤ!!」(月のない夜)
ナナナ
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