妄想の嵐
結子



 ハボロイを久々に書いたりしてますよ(リハビリ中)

「それじゃ、おやすみなさい大佐」
 等と。ハボックがひどく物わかり良く。
 それこそ、忠実な番犬然として。ハボックの居る外界とロイの部屋とを遮断しようとする段に至って。ロイは、何か不自然だ、と感じる。
「ハボ?」
 何が。と。確信が在るわけではない。

 けれど扉が閉まる、寸前。
 咄嗟に、がつ、と隙間に足先を差し入れ、留めたのはそれこそ、無意識の行動。
「大佐?」
「……」
 ホークアイ中尉に「もっとしゃっきり歩いてください!」とか「眠そうにしない!」とか。窘められるほどに気怠げな常など、ないもののようにその一瞬は、ひどく俊敏に。
ロイは、ハボックが閉ざしかけた扉を開き、男の顔を仰ぎ見た。
「なんですか?やっぱり寂しいんですか?」
「……」
 外通路の、ぼんやりとした橙の灯りの下。
 此方を見下ろしてくる視線は、いつものように。目尻の下がった、ひどくヒトの良さそうな……およそ軍人に似つかわしくなく、柔らかに透き通ったブルー。
 それなのに。何故、か。
 いつもと同じモノの中に、僅かに落とされた違和感を感じて。ロイは瞳を眇め黙り込む。
「大佐?」
「なんでだ」


 珈琲を一杯。
 チョコレートを、一かけ。
 煙草を、一本。

 そうやって。いつも、いつも。
 何かにつけ、共に居る時間を増やそうとするハボックを、のらりくらりと躱したり。叩き出したり。……時には。妥協したフリをして付き合って。
 そうして、二人の間を操るのは、己の特権だ。

 それなのに。
 こんな風に勝手に。我が儘も言わないハボックなんて。気持ち悪いではないか。

「なんでだ?」
「……何が、ですか?」

 すい、と眇めた視線に囚われ、ドアの淵を掴んだ指先が震える。


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ぷれびゅ、とは言わないですが、こんなハボロイを捻出中。
本になるのかは、神のみぞ・・というか、今週の仕事がすべての鍵を握る(あはは)

ロイちゃんが乙女でキモ!



2004年06月22日(火)
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