会話

「最近グミベアにはまってるの」
「グミベア?」
「まあ熊の形したグミなんだけど。ハリボー?とかいうとこの。これこれ。食べる?硬めで噛み応えがあって、おいしいよ」
「いらない。ここのドトール、持込み禁止だっての。大体グミってそもそもあんまりおいしいもんじゃないよね」
「うーん、これはさあ、こないだ観に行ったお芝居の中で、ヘドウィグが食べてたの」
「ヘドウィグ?あー、三上博史ね」
「そうじゃなくてヘドウィグ。まあいいや。まだヘドウィグがハンセルだった頃、・・・つまりドイツの少年だった頃。アメリカ兵のルーサーからもらったお菓子なの」
「私はその話を知らないんだけど、ヘドウィグがハンセルだった頃っていうのが、日本語として分からない」
「話の腰折るなあ。ヘドウィグって、ドイツ人の男の子だったんだよ。ヘドウィグっていうのは元々彼のお母さんの名前で、ルーサーと結婚するためにアメリカに渡る時に性転換手術をして、名前もお母さんの名前をもらったの」
「ルーサーって誰よ」
「だからアメリカ兵だよ。ドイツに駐在してて、たまたまハンセル・・・あ、ヘドウィグのことね、と、知り合ってさ。この人はゲイなのかなあ、ハンセルをナンパしてプロポーズまでするんだけど」
「・・・・・・二人は、同性愛者ということ?」
「うーん、そうなのかなあ。てゆうかハンセルは、ドイツからアメリカに行きたかったんだよね、きっと。そしてアメリカのロックスターになりたかったの。ルーサーのことも好きではあったと思うけど、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツの少年は,自由が欲しくてアメリカに渡りたかった。でも、ただではアメリカに渡れない。結婚という大義名分が必要だったと」
「男のままでは結婚できないので、性転換することになったのね」
「そういうこと。でも本人は気乗りしなかったんだよね。母親とルーサーが無理やりにって感じで。何かそのシーン、きつかったよ」
「ハンセルは同性愛者じゃないの?だとしたら、手術は嫌じゃないんじゃないの」
「そこが難しいところでさあ・・・同性愛者でも、性同一性障害ではないので、性転換は望んでないというか・・・。幼児虐待っぽい表現も含まれていたりで複雑なの。しかもその手術、失敗するし」
「え、悲惨だね」
「でも、アメリカには渡るんだよ。ルーサーの浮気が原因で、すぐ離婚しちゃうけどね。という訳で、このグミはヘドウィグにとって、自由の国アメリカの象徴なんだよね」
「・・・・・・でもこれ、原産地ドイツだけど」
「え」


ほぼ間違いなくおこせたと思います。
友人と私の会話。
あまりにもコントみたいだったので、脚本風におこしてみました。
てゆーか、何なのルーサー。
2004年07月01日(木)

ニッキ / 松

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