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2003年11月02日(日) 水を抱いているようだ



水を抱いているようだ、と。
あたしはその意味をずっと理解できないでいた。

あいつはいつもあたしを水だといった。
水を抱いているみたいだ、って。
掴み所がないとかもちろんそういう意味もあるだろうけれど。
単純に、お互いが苦しいのだ。
お互いがお互いのすべてを受け入れようと思うがあまり気を使い合い
結果、とほうもなく悲しかった。
あいつはとてもとても優しい、けれどあたしはときどきそれがとても苦しい。
どうしようもできなかった。
変わることを拒否するのはそんなに愚かだろうか。
けれどあたしたちはちゃんと知っていたのだ、変化は必ずやってくるって。
だからこそあんなにも願っていた。

なにものぞまないのは一番哀しい。
失うことを恐れるがゆえになにも望めなかった。
これは代償なのだ。
優しさはときにとても痛い。






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