映画リリィシュシュのすべてを見た。 14才という大人と子供の中間の不安定な時期の葛藤が描かれた映画。
ハッキリ言って痛いシーンの連続だ。 苦しいシーンしかない。
イジメ、売り、レイプ。
それがのどかな田舎の中学校で行われていた。
いじめられっコの星野がある日を境にいじめっ子に変わり、徐々に狂っていく。
なんでこんなひどいことをするんだろう。
なんでこんなにも見てて苦しいんだろう。
14才、俺はどんな風だったのだろう?
あんな過激な14才なんているのか?
俺はのほほんとした中学生だったのになぁ。
アレ?
なんでこんなことを俺は忘れていたのだろう?
今思えば俺は最悪だったのかもしれない。
俺は星野だ。
ここから先は実話だし、読んでも嫌な気分にしかならないから読まない方がいい。
記憶の扉を開ける。
俺は小さく、クラスの隅にいる。
大きな力に逆らえない。
しかし気づけばクラスで人気者のグループに入っていた。 一見明るくて女にも人気はあるが、やっていることは衝動にまかせているだけ。 弱者を虐げているだけだ。
入学当時俺と仲が良かったWは、そのリーダー格の 「なんか気に入らない」 の一言でイジメをうけていた。
俺は何もいえない。 なんでこいつ等はひどいことをするのだろう。
しかし言えない。 そいつとキャラがかぶる俺は、言えば次の日から俺がWと同じ目にあうのだろう。
俺が直接やってはいないが、アレの写真を撮ったり、坊主にさせたりしているのを俺は一緒に笑っていた。
最低だ。
二年生になった時だった。
アニメが好きで、おっとりしてるねと言われていた小学生時代から、クラスでヤンチャなT君と仲良くなるにつれて、俺は自分がだんだん変わっていくのがわかった。
最初はT君の腰巾着のようだった。 へらへら機嫌をとっていたような気がする。 しかしだんだん自分に逆らうヤツが許せなくなってきた。
情緒の安定しない毎日が続く。 気にくわない先生の授業になると、机を蹴り飛ばしたりした。
俺が蹴り飛ばした机からドサッと教科書が落ちた。
なぜそんなことをやったのかわからない。
ただイライラした。
それを拾ってくれる先生の姿が妙に苦しかった。
イライラしない日はなかった。
気が付けばT君の腰巾着ではなくなっていた。 T君とは仲良しだが、俺は俺のグループを持ちだした。
休み時間は俺とTのグループが混じり、10人以上でたむろっていた。
俺とTが右といえば右だった。 グループで愛想笑いをしているヤツは少し前の俺だったのかもしれない。
しかしグループの王様になった俺は、その時のことなんて忘れている。
あんな仲の良かったWと話した時、話しながら俺に気をつかっているのがすごくわかって悲しかった。
次第にクラスでの発言力をもつようになった俺は、部活も一緒で、嫌いだったU君をみんなの前で公然と嫌いだと言い出す。
俺があだ名もつけた。 「チ○カス」 と。
いつしかみんなも笑ってそう呼ぶようになった。
授業が終わっても俺と部活が同じ。
ニゲラレナイ。
彼はストレスで十円ハゲができた。
最初こそ小さなものだったが、日に日にそれが増え、中2の秋には上の部分がほどんどなくなっていた。
しかし全く悪いと思わなかった。
むしろいい気味だと。
もっと苦しめてやると。
そのハゲを見て笑った。
楽しくてしょうがなかった。
U君とは出会った頃よく家に遊びに行っていたりしたのに…。
その時の俺は腐りきっていたのだろう。 俺は童顔だし、大人からみれば、虫も殺さないただのガキんちょなのだろう。
しかしやっていることはどうだ?
ムカツク担任にボコる計画をわざときこえるように話し、脅したりした。
体は大人。
心は子供。
その心はもろく柔らかく、どんな形にもすぐ変わる。
俺にとって劇的な変化をもたらした二年も終わり、T君ともクラスが別になり、俺のグループのヤツともほとんどバラバラになった。
そして一年の時に一緒のグループで、Wをいじめていたヤツらのうち三人と同じクラスになった。
もう一年の頃の俺じゃない。 ご機嫌は伺わない。
しかしそいつらにとってはリーダー格のコ、俺にとってはT君が別のクラスになったことで、互いに暴力的な部分がなくなっていた。
もうバカらしいじゃないかと。
暴力よりも女の子に興味がいった。
そこからはチャラチャラした毎日が続いた。
1年の時とも2年の時とも違った、また別の道を進んだ。
自分だけすっかり心を入れ変えて、こんなことがあったなんてすっかり忘れて暮らしていたが、W君、U君はどうなのだろう?
書いてくうちに色々思い出していったが、まだ思い出せないだけで、ひどく心を傷つけたことをした気がする。
平気で一番残酷なことができるのは中学時代なのかもしれない。
ただすべてに不安で怖いだけなのに。 自分を守るのに一生懸命。
心から本音で語る場所が欲しかっただけなのに。
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