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雨月の夜。 | 2005年08月19日(金) |
静かな雨音に、彼女はゆっくりと瞼を開いた。 宵闇の向こうで、雨が降っている。 さあさあと耳の底に残る音楽は酷く心を落ち着かせる。 雲の上では月が輝いているだろうか。 ふわりゆらりと漂う意識は再びまどろみにひきずられ。 意識――魂は何か大きなものに呑み込まれていく。 そうして消えてしまう寸前に優しい手にすくい上げられたような、或いは完全に沈み込んでしまったような、そんな錯覚を覚えた。 その夜、雲の海の上で月と踊る夢をみた。 |