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忠告。 | 2006年01月05日(木) |
「……いいか、ひとつ教えてやろう坊主」 頭ふたつ分ほども慎重に差のある少年を見下ろしながら、大真面目な顔でオーディは忠告する。 「おっさんに坊主呼ばわりされる筋合いねぇよ」 「俺はまだ二十八だ」 「十以上も俺より上だし何より人生五十年、半分も過ぎてりゃ十分おっさんだろ」 「……」 ちょっと立ち直れないかもしれない。 黄昏つつも生意気ながきんちょにきっちりと一発拳をくれてやったオーディは、気持ちを切り替えて話を元に戻した。 「いいから年上の忠告は静かに聞いておけ」 「へいへい。そんで?」 「――女には逆らうな。特にアレだ、恋は盲目状態に陥ってる他称夢見る乙女、自称恋するオンナノコ、というような傍迷惑な存在だけは全力で避けるか、そうでなければヤツらの言うことには大人しく従っておけ。下手に現実的な突っ込みを入れると命が危うい」 「……」 かなり目が本気だった。 「つーかそれおっさんの経験談?」 「ああ、経験談だとも。そうでなければこんなこと言うか」 彼の後ろに控えてるこれまた生真面目そうな顔つきの従者が真顔で大きく頷く。 「あいつらほど物騒な輩はいない」 「あのさー、それ、あんたの周りの女だけだろ。フツーに考えて、この世の中そんな女ばっかだったら世界が滅ぶ」 オーディが難しい顔で黙りこむ。 「……心配せずともこのままだとじきに都のひとつやふたつは崩壊するだろうな」 「何そのつまんない冗談」 しかも笑えない。 「冗談ではない。私の知る限りでこの騒ぎに関係している女たちは皆そのような性格の人間だ。しかも周囲に物理的な損害を与える能力はかなり高い」 「……げー……」 やだ近寄りたくないそんなの。 「今代の巫女姫は武芸にも長けていらっしゃいますからね……確かに本気で暴れられたら屍の山が出来てもおかしくはない」 従者がぽつりと呟く。 「――巫女姫?」 聞いたことのある単語にアーウィーが首を捻った。 「今回の騒ぎの大元だ。全く放っておけばいいものを、下手につつくからとんでもないことになる」 「……何かやらかしたの?」 「追い詰めたのは貴様らであり、そして我々の仲間が迂闊にもトドメを刺した。最早アレを止められる可能性があるのはひとりしかいない」 「……可能性、なんだ?」 「可能性、だ」 ****** アホ会話ですが内容は実は割と真面目。なはず。 この話はぶっちゃけたところ「オンナノコ、大暴れ。オトコノコ、大慌て。電波とへたれだらけの中、目指せ(自分の)ハッピーエンド!」なお話です。カッコがつくところがミソ。ついでに電波は(以下略)。 しかしオーディはやっぱり狂言回しな役どころになるなあ。 |