だから猫が飼いたいのに・・

2007年02月17日(土) ななめ読み本「報道被害」とそれに関するもろもろ。

梓澤和幸 岩波新書1060

※感想を書き始めたのは少し前なので、時事的にはちょっと古くなりつつあります

8頁にこう記されています。
「再審無罪判決が出ると、マスコミは捜査や裁判の杜撰さを批判する「正義」のペンをふるいましたが、
逮捕当時、これでもか、これでもかと、被害者を犯人として断罪したマスコミ自身を裁く記事は見当たりません。」


テレビのニュース、インターネットに書かれていること、人の噂。
どれも鵜呑みにしてはいけない、とわかっていても刺激的な、興味をそそる記事はどんどん飛び込んできて
目や耳から頭脳に、心に影響を与えていると思います。常に疑うように出来てればいいんでしょうけど、
どちらかというと、信じやすいタイプなので、気をつけても気をつけてもうっかり鵜呑みにしているときもあります。

全く無関係なのに、疑いをかけられ、即実名が新聞紙などに載り、その人の人生は大きく変わってしまいました。
その無惨さを知ってなお「しょうがないんだよね」などと嘯ける記者の人たちには全く共感できません。
気をつけても気をつけても、完全にはできないことはわかるけど、
最初から「仕方ないんだよ〜」って諦めてるなんて・・仕事向いてないじゃないの?
というか、私が最初から報道の仕事を誤解しているのでしょうか。
罪のない人を死においやる、等しいことをしても、何も感じないとしたら、その人は仕事を続けないほうがいいのではと思う。
自分がしたことは、全て自分に跳ね返ってくるのだと信じているからです。
きっと同じ苦しみを味わうことになると思うからです。

朝起きて、仕事行って、帰宅して、寝て〜と当たり前の生活を送っていたら
ある日、冤罪を着せられて、新聞にも名前が載ってしまい・・なんて恐ろしすぎる!
本当に、何事もなく、ごくごく普通の生活を送らせてもらえて、有難いことだわ・・・。

凶悪な犯罪で未成年だと実名報道は控えるのは、どうなの?と思わないでもなかったけど
もし万が一でも間違いだったりしたら・・と思うと、危険な選択かもしれないと思ったり、
この本を読んで、ますます難しい問題だと考えるようになりました。

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そうしたことの関連で、本当に未成年が起こした凶悪犯罪なのに、情状酌量された犯人は人並み以上のよい暮らしを送り
被害者家族は地獄の苦しみの中のままという本もありました。

『心にナイフをしのばせて』奥野修司 文藝春秋 (2006/08)

http://www.amazon.co.jp/%E5%BF%83%E3%81%AB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%B0%E3%81%9B%E3%81%A6-%E5%A5%A5%E9%87%8E-%E4%BF%AE%E5%8F%B8/dp/4163683607/ref=pd_sim_b_5/503-0174964-8803124

さらに、被告(とされた人物)対 世間という図式ができあがった事件の本も出たようです。
『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』福田 ますみ (著)

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%A7%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%81%82%E3%81%92-%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E3%80%8C%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%80%8D%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E7%9C%9F%E7%9B%B8-%E7%A6%8F%E7%94%B0-%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BF/dp/4103036710/sr=8-1/qid=1170383848/ref=pd_bbs_sr_1/503-0174964-8803124?ie=UTF8&s=books

先日、「目覚ましテレビ」では、高校教師がいかに仕事に忙殺され余裕を失う生活を余儀なくされているか、
同僚からはNHKの「クローズアップ現代」では、上記の本でも扱われているクレーマーな親の実態が放送されたようです。

でも、「報道被害」ではNHKで放送された内容が、一方的すぎる内容で、著しく人権を阻害された人もいます。

伝えるってことはどういうことなのかと思います。
上記で紹介した本は未読ですが、できるなら読みたくありませんが読んでしまうかもしれません。

なんにせよ、偏りすぎな気がします。
教師が悪い!となったら、とことん教師を叩いてみせて、今度のターゲットは親かもしれません。

報道というかマスコミは、どうしても視聴者が見たいもの、食いつくものを選択して、集中して、伝えてしまう。
テレビだったら、より多く視聴率がほしいのだろうし、新聞だって、週刊誌だって売りたいんだから。

以前、異物混入が世間をにぎわせたときは、それこそ連日のテレビニュースや新聞にもどんな小さい異物混入ですら
記事になっていたけど、不二家以前はほとんど見かけませんでした。で、不二家の事件でまた大流行。

教師の不祥事が次々と起きて、マスコミの売れ筋は「教師の不祥事」にトレンドを見て
そこにカモネギでやってきた教師の体罰事件だと飛びついてしまったんだね。

今度は、クレーマー親が狙われているかも?
今、目だったクレームを起こしたら、それが本当に正等な訴えでも
「ダメ親のクレーマー」と思われかねなくて、いえなくなってしまいそうで心配です。

柳沢大臣の失言問題でもいわゆる祭りのようでした。そればっかり・・もっと大事な事はほかにいくらでもあるのでは?
野党も女性議員も空気読めてないですね。

伝える側の人たちも自分たちの仕事・生活のために事件をニュースとして提供しているのです。
それを視聴者側である私たちも汲んであげて、物事を判断しなくてはいけないのです。
街頭インタビュー(編集しているから、印象変わる場合有ですが)で語っていた女性たちのが
よっぽど理性的で、見ていて安心しましたよ。トホホ。
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91頁
「私たちは悲惨な事件の報道に接しても、自分には関係ないこととしてニュースをただ消費していだけかもしれません。
「私は被害にあっていない」という高みから被害者を見下ろすような態度をとっていないでしょうか。
また被害者に何か欠点や責めるべき点があれば、それを糾弾するというような視線を向けていないでしょうか。
そうした態度や視線は、共感とか共に生きる、という姿勢とはかけ離れたところにあるのです。」

肝に銘じたいと思います。
何を信じていいのかわからない世の中で(自分をまず信じなくてはいけないのですが)
この本を書き、報道被害に遭い苦しんでいる人を助けたいと活動している人がいることを知るのは喜べることです。

その他、報道被害とは何か、報道被害にあったらどうしたらいいか、具体的な内容がわかりやすいです。
さらに、報道の自由と人権を守るということ、それを同時に進行させるバランスの大切さも考えさせられます。


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