ゼロの視点
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2003年11月06日(木) 座頭市

 昨日からフランスでも封切りになった映画『座頭市』。そのうち観に行こうと思っていたところ、突然、夫が本日仕事が休みになり、ただ、二人で家でダラダラしていても、そのうち私がイライラしてくるのがわかったので、思い切って『座頭市』でも観に行くことにした。

 突然、こうして夫に休まれると、昼飯の食材はないし、色々と予定が狂う。夫は夫で、きっと“予定が狂った”と思っているのだろうが、それは私も同じ。ここまで狂ったなら、思いっきりそれを有効に使ったほうがいい、というわけ。

 そんなわけで、12時10分の回の『座頭市』をレ・アールにて。こんな真昼間から映画館に入るのは、もしかして日本で学生だった頃以来かもしれない。しかし、昼だというのに、結構人がいるので笑った。さすがフランス人、働いてない人間の数、多いぜ。

 とはいえ、『座頭市』は客席が満員になるほどではなかった。そこそこに人がいるという感じ。客層としては、非日本人が9割。

 異様に長い予告を見ている間、ふと気になって足元みると、なんとネズミがっ!!。メトロではたくさんのネズミを見るが、まさか映画館の座席の足元までネズミがいようとは・・・・・。

 さて、いよいよ『座頭市』がはじまった。夫がすぐさま、たけしの顔面神経痛を見て“演技うまいねえ、たけし”とか話し掛けてくる(汗)。演技じゃねえんだよ、おやじ。

 以前、夫と二人で暇つぶしに『菊次郎の夏』を観に行って、二人して怒り狂った記憶が鮮明に残っていたゆえ、今回もたけし映画に対して、ある意味“斜に構えていた”私達だったが、『座頭市』はそれなりに楽しめたように思う。

 『菊次郎の夏』の時は、映画館を出た瞬間にラジオのインタビュアーにつかまって、そのマイクに向かってあらんかぎりの映画に対する不平不満を述べたわしら夫婦だったわけであり・・・・。

 夫は例のタップダンスのシーンはかなり気に入った模様。私個人としては、“めくら”等の今ではマスコミが自主規制している言葉がバンバン耳に入ってきたことが妙に嬉しかった。

 フランスでも、言語の自主規制は年々厳しくなる一方だが、その反面、わが姑様世代になると、そんなものまるっきり無視した“放送禁止用語”を使っての会話になるので、非常に脳の刺激になる。我が両親も大正時代に生まれた父と、昭和一桁の母ゆえ、知らず知らずのうちに、その時代ゆえのきっつーい“表現”などをよく耳にしていた私なので、これは個人的なノスタルジーともいえる。

 映画は、途中何度も中だるみしたようにも思えたが、それでも飽きることなく観ることができた。ただ、見方を変えるとそこには、TVジョッキーや、たけし城的なノリが饒舌にあり、個人的には少し辟易とした。これは、たけしを好きか否かということで、賛否両論になるのだろう。 

 私も『ひょうきん族』で育った世代。あの頃はたけしが好きだった。が、たまに日本に戻って、たけしをテレビで見たり、映画で見たり、時には書物でであったりしても、もう以前のような感覚は持てなくなっているゆえ、彼なりのギャグ等に賛同できない自分がいる。

 一見、アヴァンギャルドであるように装いながら、非常に保守という側面ばかりが私には目に付いてしまう。団塊の世代おやじの典型?!?!?!。

 しかしながら、先日観た『HERO/英雄』よりは断然楽しめたことは確かだ。あのあまりにも真面目さを追求しすぎた姿勢には、個人的にはついていけない・・・・。

 映画館を見て、ふと、とある昔の時代劇が観たくなった。1986年にNHKで放映された『武蔵坊弁慶』だ。中村吉右衛門が弁慶を見事に演じ、その頃まったく時代劇などに興味のなかった私が、しまいには猛烈にはまってしまった作品。テレビだったけれど、今でも金を払ってでもすべての回を見たい作品なのだ、私にとって。


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