KENの日記
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2016年10月28日(金) 遍路八日目:民宿岡田へ

松屋旅館の女将さんにペットボトルに水を汲んでくれと頼んだところ、「石鎚山山腹から汲んできた水」だといって貴重な水を入れてくれました。何でも義理の息子さんが汲んできた水を分けてもらっているのだそうで、親戚の間では「焼酎の水割り」には欠かせない水として有名になっているのだそうです。この水は本当に美味しかったです。伊予西条の水もそうですが、石鎚山の「水」の恵みというのは素晴らしいものだということを知りました。

松屋旅館からJR伊予土井駅に出てそこから伊予三島まで電車で移動しました。6時46分発の列車は7時には伊予三島に着き「歩き遍路」を開始しました。松屋旅館の女将さんが何度も「伊予三島の歩き方」を教えてくれたのですが、それを覚えていて大正解でした。「伊予三島駅から大通りに出て左折。市役所の次のガソリンスタンドのある交差点を右折。直進すると右側にコロンボというパチンコ屋がある。水力発電所の鉄塔を目指して進むこと。発電所の左を回って山に登っていくと正解」。「パチンコ屋の向かいのコーヒー屋さんおコーヒーは大変美味しい」という情報まで頂きました。

三角寺の麓には「三島川之江インターチェンジ」があります。四国中央市の名前が示す通りこの「三島川之江」は「高松自動車道・徳島自動道・高知自動車道・松山自動車道」が集まる場所なのです。このインターに近い高速バス停留所は東京・大阪等から高知・松山方面に、そして九州・中国地方からは高松・徳島に向かう高速道路の通り道となっているのです。当然歩き遍路にとっても非常に便利な場所となっています。「愛知の佐藤」さんは三島川之江から帰っていきました。私ももう一日早く遍路切り上げるとしたら「三島川之江」から高速バスを利用して松山に帰ろうと考えていました。

JR伊予三島駅から第65番三角寺までは約9Kmあります。三角寺の標高は500mです。途中に「銅山川」の水を利用した「銅山川水力発電所」があり、発電所の隣には「戸川公園」という公園があります。実はこの発電所に使われている水は、昭和12年から掘り進められたトンネルをとおってダムに流れ込んでいるのだそうです。伊予三島地区は水の確保に苦労したそうで、この「銅山川の水」のお蔭で製紙産業が発展し、電力が供給され、農業用水と美味しい水が確保されたのだそうです。それを祈念して設置されたのが「戸川公園」なのだそうです。遍路道沿いにはる公園の東屋は歩き遍路の休憩場所となっています。

三角寺に上る最後の階段は大変急で気を付けないと転げ落ちる危険のあるものでした。その途中から見える山門は鐘楼も兼ねていて中央に立派な鐘が吊り下げられています。境内には桜の古木が沢山あり、春の桜の花が咲く季節は素晴らしい景色となるのだそうと想像されました。その中に「四季桜」だといって秋にも咲く桜が一本あり、紅葉した楓の横で桜の花が咲いていました。

三角寺から暫く山道を下っていくと遍路道は「土佐北街道」と交わります。この道は川之江から南下して直接高知に向かう街道で江戸時代には土佐藩の参勤交代に使われていた道です。土佐から金毘羅を訪れるにも便利な道であったようです。その旧街道と並行する高知道(高速道路)を潜ると遍路道は国道192号線に吸収されていきます。その近くに別格「椿堂」があります。

「椿堂」から3Km位歩いた先の「遍路休憩所」で静岡からきている「遍路青年」に出合いました。彼は「三角寺」からの遍路道から見える「三島市街」を静岡の富士市の方形のようだと言って懐かしがっていました。彼曰く「海と山と製紙工場の煙突」が富士市のそっくりだというのです。こちらは富士山の代わりに石鎚山があります。

遍路休憩所から3Km程で愛媛県と徳島県の県境の「境目トンネル」を通過していきます。遍路道は香川県に入らずに徳島県を隅を通って香川県に入っていくのです。今日の宿の民宿岡田屋の住所は徳島県です。トンネルを過ぎると岡田屋は直ぐでした。小雨が降り出しましたが本降りにはなりませんでした。

評判通り「民宿岡田屋」は歩き遍路にとても親切な宿で一度は泊まるべき遍路宿だと思いました。その中心は「岡田屋のお爺ちゃん」です。歩き遍路が宿に到着するとこまごまと世話をしてくれます。まず雨合羽を広げて軒に干してくれて、濡れた靴の中に入れる新聞紙を準備してくれます。そして部屋を案内してくれてお風呂を教えてくれます。建物は古いですが洗浄機付きの綺麗なトイレが完備しています。

夕食は定員8名が座れる大きなテーブルで頂きます。お爺ちゃんが給仕をしてくれます。そして食事の後半部分でお爺ちゃんから、雲辺寺登山の遍路道案内の話がありました。自作の「地図」を基にして、雲辺寺まで、そして雲辺寺下山遍路道に関するユーモアたっぷりの話です。雲辺寺は88札所の中でも標高900mという最も高い場所にあります。岡田屋のある地点の標高が250mで、下った観音寺市内は標高はほぼ「0m」ですから明日は、650m登り900m下ることになるのです。岡田屋のお爺ちゃんはそんな厳しい遍路道を熟知していて、ともすると不安になる歩き遍路を励ましてくれます。毎日毎日やって来る遍路を支え続けているのです。

食事室の壁には一面送られてくる写真が飾られています。現在でも額縁に入れられた写真が毎日のように届くのだそうです。お爺ちゃんは「80歳」になったとのことですが、まだまだお元気です。

○伊予土居→伊予三島JR列車、そこから歩き「第65番三角寺」「9.5km」
○第65番三角寺→民宿岡田(13.1km)
宿:民宿岡田屋、そう行程22.6Km 歩数:34,001歩




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