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■ 出来すぎた犬
「可愛い犬ですね」 カプセルみたいな入れ物の中で、ちょこんと座るマルチーズ。 綺麗にカットされて、水色の服を着ていた。
『ホント、ホント 私、犬飼ったことないし怖いんだけど、この犬だけは触れるのよね』 犬嫌いの友達は、マルチーズの垂れた両耳をびろーんと持ち上げてみる。
『ホント、おまえ、何しても怒らないんだな。そうとう厳しくしつけられてんだなぁ。可愛そうになー。気の毒になー。うるさいオバさんだよなぁ』 もうそれはわけのわからない質問をされ愚痴られ、午前中 仕事に戻れなかった玉木さんは、犬をつつく。
『飼い主には、全然似てないなぁ』 玉木さんは、ぼやく。
「あんまり、そういうこと言うと このしつけされたワンちゃんに、チクられますよ」 あたしは、オバサンが帰ってくる前に退散した。
『早くいかないと混んできちゃーう』と言って 自分は昼食を食べに行き、黙って犬を置き去りにしていく オバさん。 見知らぬ人に囲まれながら、飼い主を待つ犬に あたしは、同情する。
2003年10月16日(木)
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