流れる水の中に...雨音

 

 

花火を あと一つだけ。 - 2002年05月02日(木)




ほんとうに 多くの望んでいるわけではなかった。
その日その時をやり過ごせるに十分なだけの
幸せの実感が欲しかっただけだったし
それ以外のことだって 充分に私は満足をしているものだと
思っていた。

しかし 私を悲しみへと引きずり込むそれは
偶然見かけた花火のようなものだった。
遠くに 偶然見かけた花火をほんの少しだけみようと
其処に留まるうちに 其処から目が放せなくなり
最後まで見届けたくなる。
本当に ただそんなきっかけだった。
人の淋しさとか不安とか そういうものは不思議なもので
今まで目に見えなかったものが 意識をし始めると
あちらこちらにその片鱗が見えてくるもの。
そう、そして
小さな穴だと思って、手にすくった砂で穴を埋めはじめたら
いくら砂を流し込んだところで全然埋まる気配を見せずに
どこまでもいくらでも飲み込んでしまう。
終いには流し込む砂すら見つからずに
自分自身がその穴の中に落ちてしまいそうになる。

自分が幸せだと感じていたいならば
偶然見かけた花火を無視してしまう勇気が必要だし
あちらこちらにぽっかりと口を広げている空虚な穴に
気が付かない振りをすることだと思う。

いつしか
多くを望まなかったわたくしは
知らないうちに貪欲な塊になってた。
埋めきれぬ深い深い穴を次から次へと
埋めるための何かを必要とし始めたから。

最初は あと一つだけ 打ち上がる花火を見たいと
そう 望んだだけであったのに。


...




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