流れる水の中に...雨音

 

 

迷い犬。 - 2003年09月14日(日)



形にならない何かに追われている。
それは期限でもなく 約束でもなく 
義務とか義理とか そんなのでもない。
毎日繰りかえされることがらの
その項と項の隙間を埋めるための
ネバネバしたものだけが
私を包み込み 拘束する。
私は空っぽの心を抱えたまま
秋に移り行く空を眺めては
空の青さと 空の孤独と
そして私の喪失しはじめた脚を見比べて
溜め息を吐く。

ネバネバしたものが
近頃 節操のない程に増加しはじめて
本来の私すら押し潰そうとしている
私はまるで肝細胞みたいに
ぷちりぷちりと
毎日毎日死んでゆき
最後にネバネバしたものさえも
行き場を失う。

形にならない何かは
昨晩も今朝も 以前からも
探してはいたけれど
本の中にも ネットの中にも
何処にも存在しなくって
その正体を捕らえようと
向き合ったとしても
ざわざわと心に風をたてるだけで
やはり
目にはみえない。

小さな秋の日に私は
大きな樹の生える庭の蔭で
和らぎはじめた光を受けながら
目を閉じれば
きっと救われる気がする。

形にならない何かは
私を何かに駆り立てて翻弄する。
本質ではないことにさえも
そこに あたかも答えが存在するかのように
私を突き動かそうとする。


迷い犬が
この秋の庭に住み着いてしまった。










...




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