流れる水の中に...雨音

 

 

木を打つ。 - 2003年10月22日(水)



ここ最近 鑿と木槌を片手に木材を打っている。
新しい能面づくりに取りかかっている。
打ち込むごとに気がついたのだけど
なんとはなく 心が落ち着くようである。

きっと神経も手元も疲労しているだけなのだと
思うのだけど
それでも心が穏やかになるのだから
木と向き合うのは 自浄作用があるのかもしれない。

人からは「穏やか」だと言われるけれど
本当に親しい人だけが知っている 私の激しさ。
その種の激しさは 人と人とのかかわりでは
到底昇華しきれずに
心の片隅に 堆く積もり行く。
そんな思いも 汚れた衝動も 全部全部。

打ち鑿が木にくい込んで
剥がされるごとに
ひとつ またひとつ
私の心を縛り付ける固い固い筋肉のような緊張感を
ほどいてゆく。

そこから生まれた塊は私の為に。
その塊から生まれた表情は面の為に。

木を打ちつける音が響く。
きっと誰にもわかる筈は無い。
私の思いなど。



...




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