みんなと別れ、先輩と2人きりになった帰り道。
『言いたいことがあったら言って?』
複雑そうな表情をしていたうちに気付いて、また先輩が訊いてくれました。
最初はためらっていたのだけど、 先輩を家まで送っていくという口実で時間を作り 話を聞いてもらうことにしました。
サークルの中での自分の立場がはっきりせず 必要な役割を果たせているのかどうかわからなくて不安なこと、 山下さんと仲良くしているのを先輩が気にしているのはわかるけど 他の人と同じくらいには仲良くしたいと思っていること、 これらのことによって長崎先輩まで周囲の人に誤解されないか不安なこと、 などなど…
ほとんどの問題は自分の力不足が原因で 言葉にしてみたらやっぱりそれが悔しくて涙が出て
先輩はそんなうちの手を握って、優しく励ましてくれました。
これだけ話す頃にはもうとっくに先輩の家の前には着いていたのだけど 全て話すには時間が足りなくて、結局外で立ち話をしてました。
ある程度話したところで時計を見たら、もう午前1時。
『送っていこうか?』と言ってくれた先輩の提案を断って
「こんな話に付き合わせちゃってごめんなさい。 先輩の時間をこれ以上無駄にはさせられないから、もう帰りますね」
と帰ろうとしたら、先輩が急にむっとした顔をして
『俺のことバカにしてるの? この時間は全然ムダじゃないし、俺にとって大切な時間だよ。』
と言ってくれました。
この言葉はすごく嬉しくて また離れたくなくなってしまって
「…今更、送っていってほしいって言ったらダメですか?」 勇気を出して言ってみたら 『いいよ♪やっと甘えてくれたね♪』
それは余裕を見せようとする大人の笑顔ではなくて 素直な、本当に嬉しそうな顔。
あぁ、うちはこの人に甘えてもいいんだなぁと また少し涙が出てしまったのでした。
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