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『イッツ・オンリー・トーク』 絲山秋子 新潮社 - 2004年08月17日(火)
絲山さん公式サイトはこちら 文藝春秋の自著を語るはこちら 絲山さんの作品を始めて手にとって見た。 3回立て続けに芥川賞の候補となっている注目作家である。 表題作の「イッツ・オンリー・トーク」は1回目の芥川賞候補作である。 鬱病を持つ主人公の女性が失恋が原因で蒲田に引越しし、住み始めるところから物語が始まる。 作者自身も蒲田に住んでいるみたいであるが、小説の内容と読者が持っている蒲田のイメージが合っているのである。 第一印象としてとってもユニークな小説を書く方である。 都議を目指す勃起不全な同級生や、ネットで知り合った痴漢やヤクザなどが絡む物語。 個性豊かな登場人物に圧倒されますが、それをとりまとめる主人公のクールさが見事。 きっと主人公がもっとも個性的なんでしょうね。 サラッと性描写シーンも書ける点が持ち味かな(笑) ただ、こう言った作品って正直、その時の読者の気分によってかなり受け止め方が違うのでしょうね。 虚脱感が全体を支えてるような気がします。 きっとこれが本当の純文学なのかもしれませんが・・・ ちょっと勉強不足かもしれませんわ、いや読解力不足かな(苦笑) 2編目の「第七障害」、こちらは一転してオーソドックスな作品である。 登場人物も許容範囲内の個性豊かさである(笑) 馬術を嗜んでいた主人公が、競技中に愛馬を安楽死させてしまう。 そこから彼女の人生や気持ちの変化がいやおうなしに始まるのである。 いかに再生して行くかが見ものであるのであるが・・・ 付き合っていた男の妹と同棲するあたり、発想の柔軟性を強く感じた作品であった。 小説の特徴としたら表題作の方がインパクトも強いのであろうが、個人的には2編目の方が読後感も良く好きな作品である。 きっと表題作の方がより魅力的に感じたれた方は、これからも絲山さんに魅せられていくのであろうということは容易に想像出来るのであった。 評価7点 2004年76冊目 (旧作・再読作品20冊目) ...
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