思い出の味を訪ねて

私が中国茶にハマったのは、数年前に台湾を訪ねたときでした。
その翌年くらいには日本でも中国緑茶ブームが起こりましたが、当時の私にとって「中国茶」といえばサ○トリー烏龍茶の、あの濃い茶色の渋いお茶…というイメージだけ。
ところが。旅先のお茶屋さんで、お店の方がマジックのごとき華麗なお作法で淹れてくださった台湾茶は、明るくあたたかみのある黄色。しかも、うっとりするほど甘い香りがしたのです。たとえて言うならば、焼きたてのケーキの匂い。
といっても甘いのは香りだけで、お茶そのものはしっかりとした味ながら口あたりはさっぱり。
台湾には、美しい景色や美味しいお料理やマッサージなど癒しモノがたくさんありましたが、私にはこのお茶が一番効いたようです。

お店で淹れていただいた茶葉をお土産用に買い、帰国後は淹れ方を覚えて自宅でもしばらくの間は楽しむことができました。
全部飲みきってしまった後、名前を頼りに中国茶の専門店で茶葉を探して購入し、同じように淹れてみたのですが、…どうも違います。
台湾と日本では物価が違うから、もっと張り込まないといけないのかも…と、かなりがんばって上等な茶葉を買ってみたりもしたのですが(苦笑)、やはりあのときの味とは違うのです。

遠足のときに食べるおにぎりが格別に美味しいのと同じで、あの日私が感動したあのお茶の味は、台湾の気候や街並み、お店や接客の雰囲気、あるいは台湾の言葉なども全部ひっくるめて初めて味わえるものだったのでしょうか。
そして、お土産に買って帰ったお茶が美味しかったのは、まだ旅の思い出の余韻が続いていたから?
2004年10月17日(日)

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