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子供の頃、元旦にはいつも不思議な気持ちになりました。 前日まで大掃除のためひっくり返っていた家の中がキレイに片付き、テーブルの上には三段に重ねられたおせち料理と、ふだん使っているのとは違う上等なお椀に入ったお雑煮が並んでいました。まるで魔法みたいに。 記憶の中にある元旦は、いつもいいお天気。窓の外が見られないほどの眩しい日差しも、今日が特別な日であることの証のように感じられたものです。 年に一度だけウールの着物を身につけ、家族なのにそのときだけはあらたまった口調で「あけましておめでとう」と新年の挨拶を交わし、嬉しくてしょうがないのにわざとかしこまった表情でお年玉をありがたくもらったり…(笑)。 大人になって、おせち料理などの全てを母がひとりで準備してくれていることを知り、やがて自分も手伝うようにもなり、迎春準備の裏舞台がすっかりわかってしまっても、元旦に味わう特別な気分が今も昔も全く変わらないのが不思議です。
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