昔のあたしの恋は 思えば劣情から始まったようなものかもしれない。 求められて、それが嬉しくて、それを繰り返し、そればかりになる。 そんな流れだったから 相手のいいところとかは後から後から知る訳で。 それは半ば強引に「いいところ」だと思い込んでいるところがある訳で。 反対に、悪いところを見つけたら それを受け入れていかなければならないという 義務のようなものを背負っていた訳で。 何をされてもずっと耐えていた。 ひたすら。 どんなことをされても。 それは、自分を、この体ごと、 無理矢理相手にねじ込ませているような感覚だった。 大げさに言うと、 劣情という感情がなければ 昔の恋は成り立っていなかったかもしれない。 だけど、今回は、違う。 彼を想って一番激しくどきどきするのは 彼との行為の前後だったりするのだけれど… それと同時に、 彼に対して不思議なほど劣情を感じない時がある。 この人を、劣情に頼るだけで想っているのではない とはっきり断言できる。 この違いはなんだろう。 彼に抱かれたいという気持ちと、 彼に抱かれなくても十分という気持ち。 いろんなことをしてほしいという気持ちと なにもせず傍にいるだけでいいという気持ち。 相反する二つの感情が あたしを幸福感に浸らせる。 愛するって… こういうのに近い感覚なのかな。 答え、出ちゃってますね。
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