土曜日生まれは腰痛持ち

2007年06月12日(火) 言えやしねえよ…

いやあ、今日は暑かった。
といっても、まだ午後4時だけど、
そんな時間に「暑かったぁ」と断定しても、
決して勇み足でないだろうと思うくらい
暑かったと思います。

相方が休みだったので、
お昼は私も少し仕事を休み、
お好み焼きを食べにいきました。
ランチセットで、サラダ(豆と水菜とレタス)と
デザートのアイスクリームと
ドリンクバーがついていたけれど、
暑い暑いと言いながら選ぶメニューではないでしょう。
でも、キャベツが甘くておいしかったなぁ。

唐突ですが、
「あの日」も朝から暑かったのを思い出しました。
そりゃ8月だわ、しかも盆休みの期間中だわで当然っちゃ当然ですが。
当時私は、私立の認可保育園に子供を預けて
勤めに出ていました。

「認可園」といえども、私立は私立です。
独自路線で、しっかり盆期間中は休まれてしまい、
さて、近所に長時間預けるあてもなく、
困った困ったと思っていたのですが、
駅前のデパート内にフィットネスクラブがあり、
そこの附属託児所は、クラブの会員でなくても、
「託児所」の会員になれば、
格安で子供を見てくれるというのを思い出しました。
入会金がちょっと高かったけれど、
これで一安心…と思っていたら、
もう一つ、問題が発生いたしました。

そのデパートは10時開店です。
つまり、フィットネスクラブのオープンも同じ時間。
9時15分までに職場に着きたかったので、
どうしたものかと考えましたが、
幸いその時期は仕事も比較的暇なので、
1時間遅刻(時間休)扱いにしてもらって、
これで保育園が休みの間の4日間を
乗り切ることにしました。
保育園仲間であり、職場によく出前に来ていた
お蕎麦屋の女将さんにも、
「休みの間どうします?」と聞かれ、
えっへんとはかりに、その託児所の話をしました。

ところで、何の気になしに「駅前」と書きましたが、
実はその駅は、職場の最寄り駅(私鉄)ではなく、
そこから歩いて10分はカタいJRの駅です。
いつもはバス通勤だったので、定期で駅前まで乗り越しし、
託児所に預けて、かなり急いで職場に向かって
やっと間に合うというペースでした。
(バス待ってる間に歩いた方が早いという、悲しき地方都市…)
それで2日目までは、一応つつがなく行けたのですが、
3日目、トラブルが発生しました。

ちょうどデパートを出たところで、
老夫婦に会いました。
どうやら御主人は足が不自由なようです。
「○○にはどう行ったらいいんですか」
と尋ねられました。
○○に入るのは、偶然にも私の勤め先のある建物です。
「あ、私もこれから向かうところで…」
と言いかけて引っ込め、バス乗り場を教えたのですが、
歩いていきたいんだとおっしゃいます。
大まかに知っていれば、
そうわかりにくい場所でもないのですが、
口で説明するのが難しい(てか面倒な)ところでした。
そこで、よせばいいのに言っちゃったんですわな、
「私もこれから行きますので、御一緒にいかかでしょう」

人にはそれぞれ事情があります。
御主人は足が不自由で早く歩けないけれど、
それでも歩いていきたいと言う。
私は私で、たとえタクシー拾って急行しても、
既に遅刻は免れず……ですが、そうは言えません。

せめて職場に連絡しておきたいところですが、
携帯の普及していない時代だったし、
その辺で公衆電話から連絡という手もあったけれど、
そんなことしたら、
罪のないお二人に気を遣わせてしまうでしょう。
御夫婦の前をただ黙々と、
時々振り返りながら歩くだけでした。
(これで「御一緒した」と言えるのかは疑問)
そもそも毎日30分近くバスに揺られて通っていた身なのに、
あのときほど職場を遠く感じたことはありません。

やっと目的地にたどり着き、
「では失礼します」と立ち去ろうとすると、
奥様からは、お礼の言葉と同時に、
「ごめんなさい、本当は急いでいたんでしょう」
おわびをされてしまいました。
そう思わせたということは、
道案内人としては失格だったようです。

3階の職場に行くと、
夏休み(休暇とった人が多かった)の気安さで、
先輩の皆さん方が、にやにやしながら
「どしたー、ゆっくりだったねぇ」と迎えてくれました。
本当ならここぞとばかりに先刻までの状況を説明すれば、
ああ、それはいいことをしたねえ、とか、
もうちょっと要領よくできなかった、とか、
どういうリアクションがあるかは別として、
一応納得のいく「遅刻の理由」にはなりました。
でも、言えないもんですね、たとえ本当のことでも。
「すみません、寝坊してバス1本逃しました」
口をついて出ていました。
しかし、寝坊で10時過ぎの到着予定に間に合わないって、
どんだけ田舎で、どんだけ寝坊なんだって話ですが。


遅刻の理由づくりに
よい行いをでっち上げるというマンガみたいな人が、
本当に存在するのかはわかりません。
でも私は、もしそんな人が実在するんだったら、
そのしたたかさが、皮肉でも何でもなく、
ただひとえに羨ましいと思います。
結果的に「自慢話」になっちゃう話題というのは
結構ありますが、
積極的に自慢になる話をするのは
かなり勇気が要る行為です。
結構美人だし(デブだけど)記憶力いいし(もっさりだけど)
平成生まれの娘より脚長いし(太いけど)…なんてことは、
匿名だから勝手に書き散らせることであって!


 < 過去  INDEX  未来 >


ユリノキマリ [MAIL] [Saturday's Child] <