薬を飲み、頭が重いので夕方まで爆睡。 「グーッ!」 自分の途方もないイビキで目が覚めた。 何だ!今の怪獣みたいなのは。 起きるとグズグズ、横になれば詰まって息が出来ない鼻のせいだ。
いよいよ市販薬では埒が明かないので、病院に行こうと思ったが 近所のクリニックは殆どが水曜休診だった。 むう、自力で治せということか。
仕方がないので、今まで暖めていた国勢調査用紙を投函しがてら セブンイレブンに寄り、酒と菓子を大量に仕入れる。
『風邪ですか?』 ゴホゴホ咳き込んでいるのを見て、店員のおばさんが訊ねる。
「ええ、お医者行こうと思ったら今日はどこもお休みで…」 『あら、お隣の××クリニック、今日やってますよ』 「えっ本当ですか?」 『受付は6時までだからまだ間に合いますよ。 これ預かっておきますから、行ってこられてはどうですか?』 「ああ、そうですね。そうします」
親切な店員さんの勧めに従い、すぐ隣のビルのクリニックへ。 ここは休診日が木曜日らしく、受付終了前とあって待合室は混んでいた。
テレビのニュースを見ながら、ぼんやりと人間観察。 そこは、小児科かと思うほど小さな子供が多かった。
ロングヘア、紫色のベロアのパンツスーツに ショッキングピンクのピンヒールといういでたちの 多分若い母親が、くるくるパーマの子供を連れてきていた。 “人間の証明”のジョニーみたいだった。 お母さんのファッションも、やや日本人離れしている。
別の母親は、走り回る幼いお兄ちゃんを連れ、乳飲み子を抱いていた。 その小さな方の男の子が アタシの顔をじっと見つめているのと目があった。 どこかガッツ石松に似た、新生児のような顔立ち。
母親が会計に立っている間、下におろされたガッツは 小さな手でママのスカートをぎゅっとつかみ 脚の陰からこちらを見ては顔を隠し またチラッと見て、を繰り返している。 しまいには顔をくしゃくしゃにして、ウァ〜と泣き出した。 ああ、スカートにヨダレが…。
泣くこたないだろうが、泣くこたぁ(-_-;)
ここはニッコリと、聖母の笑みを浮かべてあげるべきなのだろうが こちとらなにぶん子供慣れしていないので、それが出来ない。 逆に、ヨシヨシとあやすより、泣き顔をムギュとつまんで あっちょんぶりけしてやりたい衝動に駆られる。 (自分が保母さんに向いていないことは知っている)
薬局で薬をもらい、コンビニに品物を取りに行った時には 1時間以上が経過し、日はとっぷり暮れていた。
ところで、やっぱり医者の薬は効きが違うな。
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