『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2006年06月10日(土) 浮草

ぐったりしながらうちへ帰って
まるで、いっぱしの大人がするみたいに
真っ暗ななかでカギをあけたり
昨日ののこりのカレーをあっためたり
ひとりで新聞をみたりする

しずかで
とてもしずかで
自分がどんなかたちをしているかとか
どんな声でどんなしゃべりかたをしていたか、そんなことを
わたしはずんずん忘れてしまう

望んで与えられるひとりはやすらかか知れないが
望まないひとりは、ひとを空虚にするようで
わたしが薄くなっていく

次にあなたに会うとき
どんな顔をしよう
どうやって笑おう
もう、会わなくてもいいよくらいに淡くなったわたしから
どうやって、記憶を呼び起こそう


よく、わからないで
せかいから
わたしがふわりと浮き上がって
途方に暮れた幽霊になる

……いなければよかったのかな


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真火 [MAIL]

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