もしも今が夏だったなら外は青くあかるくて だからナイトミルクというよりも モーニング、なんだろうと思いながら
ふらふらと台所へあるいていって 冷蔵庫からつめたくひえた牛乳瓶をとりだして マグカップにつぎたし、あたためるのだった ナイトミルク?
…本当は、うまれたばかりの赤ちゃん牛に 一時期、母牛が夜眠るまえに与えるミルクを ナイトミルクと呼ぶらしく… それはほんとに、仔牛がよく眠れるような成分違いのミルクだって いつかどこかで読みました。
わたしは仔牛ではないので 取り上げるまでのこともないし たしかに牧場のあるよな土地に住んでいても それだけのミルクをほしがるくらいの心もないから ただのホットミルク、にて あたたかさをもらって
あとは…なにかどうにかしなくちゃと 手元のカードを睨むくらいの冬の毎晩
・・・・・・・・・・
カウンセリングはじまって あ、そういえば こういう、不思議なくたびれかたをするもんだったっけ… と思い出していた 駅ビルのてっぺんのCD屋さんの前にならんだ おじいちゃんおばあちゃんがなぜか席を埋めている白い椅子に その隅っこに、ぼうと座りながら。
気がつくと誰もいなかったから 熱っぽいあたまに気がついたから ああもう帰ろう帰らなくちゃ帰れ …そう、身体に指令をだして ようよう、帰途へついた「わたしぼくあたし」。
きれいな陽光を この目にきちんとうつせるように 挨拶のように笑ったあとに 一気にからっぽになった自分をみつけて いのちについて、なげやりにならないように
わたし、ミルクをあたためて飲む。 せなかを支えてくれていたあなたがいない事実は重いけれども とても、不安で怖いことなんだけれど でも なにをしてもなにをしてもなにをしても
これ以上 なくしたく、ないから
寒い明け方の マグカップミルク。
|