似た人
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タバコを吸うK先輩。 私には、想像できない事でした。 考えてみれば、中学生の頃から周りではそういう男子は居たでしょうし、同級生でも外で会えば吸う男子は居ました。 私にとって、K先輩は一つという歳の差以上に上の存在に感じていたのは事実ですが、その反面。 何するか分からない、ハラハラする存在でもあり、どこか弟を見るような感覚もありました。 だから、私が作ったポケットにタバコを入れると言われて、また学校で見付かったりして、問題にならないといいけど。とかなり心配でした。
高2にもなると、私の周りの友達は皆、異性の話題で持ちきりでした。 「彼氏が欲しい」という言葉がいつも飛び交っているような教室でした。 私とK先輩の曖昧な状態ですら、周りからは羨ましがられました。 特に、その頃私が仲良くしていたグループは、そうだったかもしれません。 「恋人募集中」などと黒板に書いて、皆で写した写真は、私の知らないところでその子達を通じて、他校の男子生徒に見せられていたようです。
K先輩と、誕生日プレゼントを渡して以降、何も連絡をとらぬまま一週間が過ぎた頃。 私は休みの日にそのグループの子達に誘われました。 他校のK先輩と同じ一つ上の男性と数名で遊ぼうという話でした。 K先輩以外に興味が無い私は、最初は断りましたが、 「亞乃も呼んでって言われてるんだもん」 と言われ、半ば懇願された感じで参加することになりました。
私がその頃特に仲が良かったのが、AちゃんとIちゃんでした。 Iちゃんは、バイトがどうしても休めないという事で、不参加でした。 他に、J子を含め、5-6人で待ち合わせの場所に行きました。 しばらくすると、数名の男性が歩いてきました。 その中に。J子のお目当ての人が居ました。 目的のメインは、どうやらJ子のお目当ての人とJ子を近づける事だったようです。 当初、私はそれを知らずに居ました。 ただ、その人を見た瞬間、私は驚きました。 K先輩にとても似ていたのです。
後から思えば、余計に全ての感じが似てました。 顔もそうだし、全体的な雰囲気が。特に、女好きという軽い感じが。 その人は今井さんと言いました。
何をして遊んだか、あまり良く覚えていません。 どこか、山の方の集会所みたいなところで、皆でお菓子を食べながら喋っていたのだと思います。 待ち合わせが午後だったこともあり、あっという間に夕方になりました。 その頃、バイトもしていましたが、内緒だった為に土曜日は親が帰宅する17時過ぎには家に居るようにしていました。 皆はこれから、花火をしようという話をしていました。 私は、花火をしたい気持ちもありましたが、家の方が気がかりでした。 それに、その一つ上の男性達に全く興味も無かったので、詰まらなかったのも事実です。
「ごめん。そろそろ帰らないと親がうるさいから」
と私はAちゃんに言って、席を立ちました。 すると、男性達が「もう、帰っちゃうの?」と聞いてきました。 「すみません。親がうるさいんで・・・」と言うと、口々に 「箱入りなんだぁ〜」などと言われました。 「そういう訳じゃないんですけど・・」などと言いながら、靴を履いていると、今井さんが来て
「送ってくよ」
と言いました。
「いえ、まだ明るいから大丈夫です」
と断ったのですが、送っていくと言って引いてくれませんでした。 仕方なく、「じゃぁ、ちょっとでいいですから」と言ってみんなの方に振り返り手を振ると、男性達から
「今井ーーーっ襲うなよーっ」
などと冷やかしの声が上がりました。 それに対し、悪ふざけしたのでしょう。今井さんが、私の肩に手をまわすフリをしました。 その時、なんだか嫌な予感が少しだけしました。 K先輩に似ているので、他の人よりは多少の親近感めいた感覚はあったものの、別に興味がある相手ではありませんでした。 実際に今井さんの手は、私に触れませんでした。 でも、そういう仕草をされた事で、一瞬、私の表情が強張ったのかもしれません。 手を戻しながら、今井さんは
「ごめん、ごめん。俺、そんな事しないよ?」
と言いました。 今井さんは、次々と色んな事を聞いてきました。 「門限、厳しいんだ?」 「部活何やってたの?」 「バイトはなに?」 「どこら辺に住んでるの?」 私は、どんどん話し掛けてくれるので、そのうち、まったく緊張もせず気楽に話が出来るようになっていました。 気付くと、かなりの距離を歩いてしまっていました。 慌てて立ち止まり、
「もう、戻ってください。大丈夫ですから。有難う御座いました」
と言うと今井さんは、
「そうだな。戻らないと疑われるしな」
と笑いました。 その笑顔が、やっぱりK先輩に似てるなぁと心の中で思っていると、
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