吉野家で「牛丼、並盛り、つゆ抜き」を、カウンターの王さんにオーダー。 到着した牛丼をいただいていると、奥から、王さんではない店員さんが走ってきて、 「お客様、申し訳ございません。それは私が作りました。それはつゆ抜きではありません。」 と言って、彼は僕の掌に乗っている丼ぶりに手をかけました。 「いや、もったいないから別にいいですよ」 と答えた僕から、いよいよ丼ぶりを取りあげ、 「いいえ。大変申し訳ございません。」 と言い残し、作り直しに行ってしまいました。 このとき、箸を片手に残された僕を見て、王さんは何を思ったのだろう。 そして、それから間もなくして、完璧な程につゆ抜きの牛丼が到着しました。 厨房の彼は再度、深々と丁寧なおじぎをして、名前も告げずに去って行きました。 さすがは吉野家チェーンで最高の来客数を記録する有名店。 実績が裏付ける責任感。このクオリティ。 王さんは何事もなかったように、淡々と会計をしてくれました。 「380円でーす」 僕は、あの作り損じの牛丼に想いを馳せながら、「ごちそうさまでした。」と伝え、店を後にしました。 また来ますね。 ごきげんよう。 |