2002年07月28日(日) |
「Everyday」 |
September Eleven-9/11 あの悲惨な米国同時多発テロから一年後の2002年9月11日にBON JOVIは新しいアルバム『Bounce』を発表する。 前作『CRUSH』から2年、早いな、というのが正直なところ。 もっと遅れて完成してもアルバムのリリース期間としてはごく普通だと思う。 けれど彼らは9/11にアルバムを出したかった。 1stシングルの「Everyday」を先日聴いた。歌詞の意味も知った。ちょっと、涙が出た。 ジョンのインタビューもテロの事ばかりだった。それだけ衝撃的な事件だったのだろうけれど。 彼らがニューヨーク近郊のニュージャージーに住んでいるから、というのもテロを身近に感じた理由なのでしょう。
同じ日は二度と来ない。 『あの事件のあと、一番言われたセリフと言えばね「もう二度と同じには戻らない」という事だ。 もし、戦いに挑むとすればいったいそこから何が生まれるか。まだ余力が残っている間に行動を移そう。 つまり、僕は毎日のように成功や他人の幸せの為に走り回っている事に疲れてしまった。 自分ではちっとも突っ走っていないと言いながら実は走り続けている。 STOP! 一度立ち止まって周りを見渡してごらん。ほら、太陽が輝いているし、とても美しい日じゃないか。』
歌詞を聞いて「Everyday」は「It's My Life」のように共感する部分が多かった。 「It's My Life」よりリアルな響きだ。おとぎ話でも作り話でも何でもなくて「何て現実的なんだろう」と。
音?音はね、私はちょっと辛口意見。もともと古いファンだから『CRUSH』の音にも不慣れな部分があるくらい。 『THESE DAYS』でさえ、付いていけない「しおらしさ」をも感じてしまったのだから。 その点『CRUSH』にはパンチの効いたロック・ソングも数曲あって、まぁまぁ好き。 というより「It's My Life」が全てで後は付録みたいなモノと言えるくらい、この曲の価値は計り知れない。 『CRUSH』は近年稀にみる名曲を生んだアルバムとして重要だった。 思い出してみても、私の腐ったオバさんの脳みそでは曲名がハッキリと言えるのが Thank you for loving meとOne wild nightくらいだ。他の曲は当時はそれはそれは大切にしていたけれど 今となっては酷い話だが、印象の薄いアルバム収録曲としてしか意識がない。 彼らはアルバム一枚ごとに名曲が必ず一曲はあるバンドだから、今回の『Bounce』にも期待していた。
しかし、しかしである。 先行シングルの「Everyday」がとんでもなかった。 歌詞に関しては先に述べた通り、このアルバムはかなり期待しても損はしないだろう。 問題は音だ。音。これ一曲でアルバム全体がどうなっているのか把握しようとするなんて馬鹿な話だが 「心配」の二文字が過った。 3分足らずの曲中にはリッチーのギターソロだって入っているし、良いと思うが。 とにかく心配になった。自分的にもう少しアップ・ビートを期待していたから戸惑った。 イントロを聴いて「Livin' On A Prayer」とそれと対をなす「It's My Life」が彷彿させられた。 リッチーお得意のボイス何とかっての(何とかって…ド忘れ!!!)「バウバウ」っての、わかる?? ま、『CRUSH』同様に回帰的な作品なのかと一瞬思ったが、どうやらそうらしい。 その態度は悪くない。BON JOVIがBON JOVIであるためにはどんな場合も絶対に必要な事だから。 しかし耳慣れないループやサンプリングの音が聞こえてくると、ピュアなロック・ソングとは思えなくなる。 この「ポコポコポコ…」「ブクブクブク…」という音。何とまぁ、今時なのでしょうか。 『CRUSH』の時から曲のアプローチが21世紀型にばっちりハマってますよね。 ブルース・フェアーバーンの死、ルーク・エビンとの出会い。プロデュースする人間も変わりましたし 時代も「Livin' On A Prayer」の時代とは随分変わりましたから、同じモノを作っていても仕方がないでしょう。 ですがね。この「Everyday」をライブでやって果たして我々は気持ちが良くなるのでしょうか。 「重い」と思うんですよ。 「It's My Life」だってあんなにヘヴィな音作りでライブでやったら、それだけ浮いていた印象があったし 私は心配だ。とっても。こんなに低めのトーンで良いのかと、心配だ。 曲自体は良いと思う。バンドとして演奏している、作っているというのが伝わってくる。 が、BON JOVIとしてこの曲を皆の前で演奏すると、どういう事になるのかと考えると面白くない。 イマイチ盛り上がりに欠ける。高揚感がない。そこが致命傷なのだ。 「It's My Life」でさえ、そうだった。私が『CRUSH』ツアーで感じた嫌な予感が今になって出てきた。 他の曲に比べると低くて重苦しいんだ。歌詞は素晴らしいのに。 これが21世紀型BON JOVIなのか?だとすると、つまらないぞ。 最後の歌メロ「all right」の繰り返しの部分だって、もっと違う歌い方があるだろう、ジョン…。 あなたは高いトーンが出なくなったと聞いたが、それは本当だったのね。 アレンジを何とかして欲しい。ライブではもっとアップ・ビートで跳ね返るような… そう、正にアルバムタイトルのように「バウンス=Bounce」してもらわないと本当に困る。厳しいと思う。 私にしては辛口な意見だが正直に言うとこうなった。 すげぇ曲!!!とは思わなかった。好きだが、ほんの一時の好きな感情しか抱けないかもしれない。 「Livin' On A Prayer」とは随分と質が違う好きな具合なのだ。 時代に流されそうで心配になった。
2004年になったら、彼らはデビュー20年になってしまいます。恐ろしい事に!! という事は、恐ろしいほどの青春が彼らと共に歩まれているのです。 私も青春を彼らに捧げたと言っても良いくらいです。今もまだ青春だと思ってるけどさ(笑) 何だかんだ言ってBON JOVIが好きなんです。私。 結局、いつも帰ってくるところはBON JOVIなんですよね。 人それぞれのリズムやサイクルがあると思います。ある日突然、むしょ〜〜に聴きたくなる時とか。 いつ聴いても心の紐を解いてくれるのがBON JOVIの歌だったりします。 そしてまた、新しいアルバムが出ます。 世界にとって最も忘れられない日に、彼らのポジティブなメッセージが私達の元に届きます。 911のことで私は「世界を震撼させた」と言っていましたが、その痛みは今もまったく消えてはいません。 消えるどころか、また911が近づくにつれてハッキリと見えてきています。 BON JOVIはそういう状況の中で私達にどんな影響を与えてくれるのでしょうか。 一抹の不安はありますが、私はアルバムの発売を楽しみにしています。 あと1ヶ月と数日…。
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