金曜日が朝帰りがったので、今日も今日とて午後から活動開始。本日のイベントは年に3回有るか無いかの王子への観劇の旅‘シベリア少女鉄道’『遥か遠く同じ空の下で君に送る声援』を見て来ました。 毎度開演ギリギリに入るのでたいして王子の街を見る事も無く帰ってくるのですが。今回はチョットだけ歩いてみました。そうですねぇ、一部の地帯にラーメンやが密集していてチカチカの電飾置看板が多いです。感想はそれだけです。
‘シベリア少女鉄道’『遥か遠く同じ空の下で君に送る声援』:折り込みには役者の紹介、出演者の役名・・・役名がみんな「めぞん一刻」の登場人物だぞ?つまり皆、名前の頭に‘数字’が付いている、これ何か関係有るのかな?おや、皆なぜかそれぞれあるキーワードだけ言い方が違うぞまるでお笑いのネタみたいに、やたら説明臭い長台詞が有るぞ、などなぜかネタバレ気味な今回。 舞台はとある喫茶店に集まった男女、‘かなり思い込み激しい女の子=七尾(染谷)’を中心に、‘それをホローするために付き添いで表れた親友=一ノ瀬(水澤)’、‘なんだか裏の有る軽い調子のウェイトレス=六本木・音無(秋澤)’‘店のTVで競馬を見ているオヤジ=二階堂(藤原)’それと‘全く喋らないで食器を拭いているマスター=四谷(土屋)’がお店に常駐。そこに‘七尾の片思いの相手=五代(吉田)’と、‘六本木に弄ばれる男=三鷹(吉田)’の一人二役が入れ代わりで絡む。今回は全体としてはラブゲームなストーリー、片思いらしい女の子と、一人の女性を巡る三角・四角関係と野次馬が絡む、まさに高橋留美子原作の漫画「めぞん一刻」を下敷きにしたドラマ。お馴染みの大転換芝居に向けてなんとか大筋の恋愛劇(?)が少々無理の有る進行ですすむ。
で、肝心の大転換の内容は<以後ネタバレ>“台詞に含まれる、ある主のフレーズとキーワードを使ってもう一つ(現状の芝居とは全く関係ない)状況を同時に進行展開させる”と言うもの。 先ず、ある時点で舞台右上に隠されていた装置“ゲームセンターに有る様な馬が7頭並んだ競馬ゲームのボード”と、右下に隠されていた“競馬新聞に載っている出走馬の名前と丸や三角の付いた予想票ボード”が姿を現す。そして、キャラクターそれぞれに特定キーワード‘出走馬の名前’を台詞に含ませる、それも役名の頭に付いている数字に対応する出走馬の名前。劇中にその言葉が出たら舞台右上に設置されたボードの馬人形が一馬身進む。その間、舞台上の芝居はきちんと恋愛劇が進行しているし、馬の名前以外の台詞もレースの実況解説としても使われると言う、お得意のダブルミーニング。その結果、恋愛レースと競馬のレースが同時に終了するように構成してある。そして更に手が込んでいるのは、その日の来場者全員に配られた折り込みチラシが勝ち馬投票券になっており、当選者は1000円分?のJCBギフトカードがもらえる。その折り込みと言うのが「高校生の様なブレザーを着た染谷さんが学校の廊下の様な所にいる写真が有って、そこに学年&クラス表示のプレートが写っているのだが、そのプレートこそ連勝の馬券になっている」例えば)3年7組は‘3-7’という具合。 相変わらず幾つもの仕掛けを入れた趣向こらし捲りの舞台でしょ!?ただ、それぞれ役とキーワード=馬の名前を印象付けるため、前半の段階から各馬の名前=キーワードをそれぞれが連呼するのが今一つ無理が有るのと、競馬が始まってからではルールを説明できないので、前半に説明じみた台詞を挟むのだが、その台詞も、何が始まるか伏せてある段階での長台詞なので浮いている。染谷さんの(天然)トリッキー演技、秋澤さんも(確信犯)トリッキーな演技、水澤さんの一人取り乱し演技、などキャラはそれぞれ立っていて面白いのだが、後半のもう一展開を消化する程の力量にはなっていない。んん、何かやろうとしているのは先刻承知、それ舞台として成立させるにはやはりまだ役者の力量が付いて行って無いのが正直な印象だ。やはり、「耳をすませば」の完成度が高かったのでちょっと期待し過ぎる向きが私に有るのも否めない。本当は、毎回こんな脱演劇見たいな芝居を考える事こそ気が狂いそうな事だと思うので、それを毎回やってくる土屋氏は凄いのだ。あとは、十分可愛い女優陣と結構癖の有りそうな男優陣がもう少し芝居が上手くなれば・・・って、毎回謂っているがこの劇団だけでやっているとなかなか上手くなる機会が無いので、できれば他の劇団に客演させてもらいなさい。
先日思ったのだが、私はこの劇団に「劇団健康 」が「ナイロン100℃」に再編された当初に行っていた実験的な玉手箱の様な演劇、演劇の構造を崩す意外性を期待し楽しんでいる(得に論理的な部分で)。これを、‘物理的&勢い’でやっているのが拙者ムニエルだと思う。 ちょっと重荷かなと思うし、何時それが予定調和に変わるかしれない。でもそれがシベ少のカラーになり、土屋氏の色として浸透すれば勝ちである。そう、‘ケラのシュールな笑い’や‘野田の言葉遊び’のように。
次回は遂に、王子以外でも芝居をうつ、1日だけど、多摩センターだけど。
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