気分刊日記

2007年05月20日(日) せめて大倉がネズミ男なら

はぁ〜〜、ため息付きたくなっちゃう位どうしようもない映画を観てきました。実写版『ゲゲゲの鬼太郎』です。どうしてこんな映画撮れてしまうのでしょうか。「デビルマン」「キューティー・ハニー」「鉄人28号」「タッチ」「ラフ」「どろろ」・・・もう勘弁してください。それ程原作に思い入れがある訳でもないので、原作の冒涜とか言うつもりはありません。

ただ、創作物として一定の完成度を得た作品・物語をもって全く想像力の欠如したストーリーすら失われた物に作り替えるのは辞めてください。特に、オリジナル脚本でコケる位なら原作のエピソードをそのまんまのカット割りで撮るだけでかまいません。ただし、キャラクターが出来た上がっている所に全くミスマッチなキャスティングを芸能界の政治が作用して決定されるのもウンザリですから、取り敢えずweb上で誰が当てはまるか投票をして、出来る限り上位の方に話を持って行く様な方法をとってみてください。

また、お金が無いくせに制作準備期間も撮影期間もポスプロの手間もろくにかけず特撮映画を撮ろうとしないでください。制作、企画が先にありきで映画としての完成形が想像できない様な映画は作っちゃいけません。脚本家はきちんと監督とイメージの共有をしてください。原作があるから共有できていると思ったら大間違いです。出来る物なら、「ルパン三世 念力珍作戦」「ドカベン」位の事をやってください。そんな訳で、インデックスの出資する日活の「ヤッターマン」「ガッチャマン」も今から空恐ろしいわい!

そんな、アニメや漫画の実写版よりも寧ろこちらの方が面白いんじゃないと思う事しきりです『巨乳をビジネスにした男』一目瞭然、元イエローキャブ、現サンズの野田社長の半生を描いた実録物です。エンケン(遠藤憲一)激似です!しかし、主演が浜田翔子って全然巨乳じゃないのですが?ここにも芸能界の政治をちょっと感じます。6/1までシネマアートン下北沢でレイトショーですが、7月にDVDの発売が決まっています。

ゲゲゲの鬼太郎
さて、“ネズミ男”だ。大泉洋も悪くはないのですが、どう考えても大倉孝二が適役だと思う。劇中の大泉の演技を観ているとなおさらだ。出来る事なら、大泉には同じ実写でも、本作ではなく今後公開の「ヤッターマン」でボヤッキーをやって欲しかった。鬼太郎が箸も棒にもかからないウェイツなので、なんとか場をつなげてはくれたのだが、思っちゃった物はどうしよう無い。

室井滋の砂かけ婆はビジュアルはOKだが、演技がクドい(クドいで言えば無理に竹中直人を出す事はないだろうに)。間寛平の子泣きはもう何度か観た事がある様な気がするのだが?もちろん異論は無い。塗り壁の声が伊集院で、一反もめんの声が柳沢慎吾ってのは殆どどうでも良い。せめて猫娘の田中麗奈はノースリーブのミニのワンピースで生足と細くて長い腕をあらわにコスプレでがんばっていたのだが、全く色気はない。少し乳があれば良かったかと言うとそう言う物でもないが、現在同じ様に毒にも薬にもならない、全くセックスアピールのない女優で加藤あいと言うものも居る。もう少し年を取ると木村佳乃なんても居る、田中麗奈もその部類に入りかけている。

キャスティングのズレはいくらか目をつぶるしても、脚本が最悪だったために観てる途中から胸くそ悪くなって何度も途中で出ようかと思った。その、筋の通らない説教臭さ、その説教がご都合主義に合わせて並べられているので、いくら作り事の世界とは言え客層のおおよそを占めるであろう子供達に誤った考え方を植え付けかねない偽善的なご都合主義は恐怖さえ覚える(妖怪映画なのでこれはこれで正解か?)。制作手動で作られたご都合主義の映画で、現場にも三池や塩田のようなどんなに酷い要素でもそれなりの着地点を想像して組み立てて行ける人が居ない現場だったのだろう。造るって言ったからには体裁だけ整えて、DVDで回収する事は考えていても、この作品が後世へ残される事なんてみじんも想像していなって感じだ。それでも、興行的にそれなりの結果を出せている所が今の方がブームが末期症状である印でもある。


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