「 帰ろうか。」の一言に
『 もう少し一緒にいたい。』 と言えなかった。
あたしをおろしたあと 赤信号で止まっている
なおきのクルマのブレーキランプをじっと見つめた。
信号が青になって 曲がってしまうクルマを 小走りで追いかけた。
だけど なおきは行ってしまった。
本当は手をつなぎたかった。
ギュってしてほしかった。
頭を撫でてほしかった。
キスしてほしかった。
だけど 今日は なんだかそれができない空気だった。
なおきがあたしに会いたいと思うとき あたしは出かけてしまっていて。
あたしがなおきに会いたいと思うとき なおきが出かけてしまっていて。
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