惑う、惑わされる、どっちでも良い。 僕は恋をするのが怖いのだ。 絶望的に。 トラウマのように。 無邪気に無心に見えるあのひとの熱にほだされそうなのが怖いのだ。 その上で、 あのひとが僕に恋をしているというのが泣きたいほど嬉しいのだ。 僕は、 もう二度と、恋をするまいと、 何度も自分に言い聞かせてきて、 けれどその自分がふるえるのだ。 僕は何か間違っていないかと。 間違ってはいないのかと。 ふるえて。 あのひとに純粋に、焦がれることができないのが悔しい。 僕は。 このように怖れることなく、 罪の意識を抱くことなく、 あのひとに惑うとか惑わされるとか思わず、 あのひとが愛しいと、
あのひとのように素直に云えたなら。
僕はあのひとが好きで。とても。 それだけで心がふるえて仕方ないけれど。 できるならあのひとに執着など持たず、 いとしいと、 ただそれだけを、 透明な目でひとに述べたい。 打算とか憐れみとかでなく、神の御前で自らの潔白を贖うように、あのひとも他の誰をも庇うとかでなく。 聴いてください。
僕はあのひとが好きなのです。
|