あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2004年08月20日(金) 夕立から



その日僕は午後の予定を全て忘れることにして電車に乗った、

窓の外は鮮やかな白と青のコントラスト
夕立のありそうなまぶしい夏の日。

欲しいものが直射日光みたいにまっすぐに照らされてしまうことがある、
僕は電車の中、おだやかな揺れと陰になった座席のやわらかな光の中に座っている。


遠くへ行くのは造作もないこと。



途中で急に雨が
電車が駅に止まると雨の匂いがどっとなだれ込んできた
不穏な匂い。
傘を持ってきてないなぁ、とぼんやりと空を見る。


どこへ行こうね、

急にさみしく心細い。
みんな遠くにいる。近いのは日常だけだ。

そして列車は雨の中に突入する。
わずかに細く開いた窓から、重く湿った草のような空気が流れ落ちる。
雨の砕片が飛び込んできて僕を濡らす
僕は溺れそうになる。



ふと
気が付くと、
さっきから電車は同じ町の中だけを走っている。
何度も繰り返し同じ駅に止まる。

不親切だなぁ、と他人事のように怒りながら、
僕はやっぱりさみしいだけの自分を持て余している。





↑もうこの眼は蒼くなってしまった

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そんな日だったら良かったな、と。


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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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